従業員に在宅勤務をしてもらう際には、自宅で快適に働いてもらうために在宅勤務関連の費用を会社が負担したりすることも少なくないと思います。
今回は従業員の在宅勤務の費用を会社が負担した時の税金の取り扱いについてまとめてみようと思います。
在宅勤務手当を支給すると給与として課税される
まず、従業員に在宅勤務をしてもらう際に在宅勤務手当といった名目でいくらか給料に上乗せして支払うことが考えられます。
この場合、後述するような細かい精算をしなくて済むので払う側にしても貰う側にしても楽です。
一方で給与として所得税の課税対象になり源泉徴収が必要になります。
※通常の給料と同様に会社の経費には該当します
このように取り扱うのは、基本的に金銭やモノを支給したきりで、後日精算等がなければ所得税の課税対象(雇用関係があるなら給与扱い)になるという考え方に基づきます。
この考え方はたとえば旅費や交際費でも、同様に渡した切りの支給だと基本的に給与として課税するという考え方がありますがそれと同様の考え方になります。
そのため、給与として課税されても問題なければ、在宅勤務手当を支給すればシンプルでいいのですが、給与として課税させたくないと考えるなら次のような支給方法を検討していくことになります。
在宅勤務に必要な費用だけを負担する分には給与として課税されない
先述したように在宅勤務の費用がいくらかかったと精算をせず、手当といった形で月なり年いくらと支給をしてしまうと給与として課税されてしまいます。
また、パソコンを購入するからと20万円を渡して、その後従業員がそのお金でパソコンを購入したとしても、領収証の確認やお釣りの精算等をしない限りは給与として課税されます。
一方で、仕事に必要だと認められる範囲内の在宅勤務の費用をきちんと精算したり、あくまで貸与という形で仕事道具を支給する分には給与として課税されることはありません。
たとえば仕事で使うパソコンやスマホ、タブレット、プリンター、仕事机、椅子といった仕事道具を支給しても、あくまでその仕事道具は会社に所有権があって、従業員には自由に処分をする権利がなく、退職等をする際には返却が必要といった扱いにする分には課税がありません。
といっても机や椅子といったものだと、退職等の際にわざわざ会社に返すといったことも考えにくいところもあるので、ものによっては支給をするのをやめておいた方が無難だと思います。
大抵の場合はパソコンやスマホ、タブレット、プリンターあたりは在宅勤務を始める前の対応の延長線上で問題ないのかなと思います。
次に、在宅勤務中のプリンターのインク代や用紙代、文房具、ティッシュといった消耗品についてです。
これらも、ともすれば仕事とプライベートでごっちゃになってしまう可能性がありますが、きちんと仕事で使う分を分けて、仕事に使った分だけを精算をすれば給与課税はありません。
最後に通信費や電気代です。
これらも基本的な考え方は仕事で利用した分を精算すれば給与課税はありません。
ただ、仕事で利用した分を明確に計算するのもなかなか難しいところです。
そのため次のような簡便的な計算式が用意されていて、その計算で求めた金額までを支給する分には給与課税はありません。
■通信費の場合
(スマホ代+インターネット代)×その月の在宅勤務の日数÷その月の日数×0.5※
※この数字は1日の労働時間が8時間の場合で計算しています。労働時間8時間÷(1日24時間ー睡眠時間8時間)で計算
■電気代の場合
電気代×仕事に使う部屋の床面積÷自宅の総床面積×その月の在宅勤務の日数÷その月の日数×0.5※
※通信費と同様の考え方です
まとめ
今回は従業員の在宅勤務の費用を会社が負担した時の税金の取り扱いについてまとめてみました。
基本的に名目は何にせよ手当という形で支給してそのお金を自由に使えるような状況だったり、使途を限定して支給したとしても、その使途の確認をしないで渡した切りの状態だとその支給額は給与として扱うことになります。
また、在宅勤務の費用と言えど、通常の会社での経費と同様で仕事で必要な費用を支給する分には会社の経費となります。
具体的には、長期的に使うような仕事道具の類は会社が従業員に貸与という形をとれば給与課税はありません。
消耗品に関しては仕事で使う分を会社が支給するなり実費精算をすれば問題ありません。
また電気代や通信費も仕事で利用する分は当然に会社の経費となり給与課税はないという理解になりますが、その仕事で利用する分を客観的に計算するのが難しいので、税務署が用意した簡便的な計算式を使って支給できる金額を計算して支給しようということになります。
■編集後記
先日注文したコーヒーの生豆が届きました。
ちょっと焙煎をしてみようと思っての注文です。
明日か明後日あたりには一度チャレンジしてみようと思います。
■一日一新
息子の銀行口座と証券口座の開設申し込み手続き