今回は法人成りする場合の消費税関係の手続きについてまとめてみたいと思います。
個人としての手続きと法人としての手続きに大別されますのでそれぞれを分けて見ていきます。
個人で必要な手続き
個人事業主が法人成りする以前に課税事業者であった場合は「事業廃止届出書」の提出が必要です。
提出期限は「事由が生じた場合速やかに」とされていますが、要するに法人成りして個人の事業を廃業したら間髪入れずに早く出してねということです。
※一応個人の事業の一部を廃業なんてこともあります。その場合は提出が不要なんてこともあります
この届出書を提出することで次の届出書も提出したことになります。
- 消費税課税事業者選択不適用届出書
- 消費税簡易課税制度選択不適用届出書
- 消費税課税期間特例選択不適用届出書
- 任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書
個人的にはこの手続きは重要性が低く扱われがちな印象もあります。所得税で廃業届を出したんだから消費税の届出はいらないでしょみたいな。
ただ特に簡易課税は、しっかり届出を通してやめておきたいものです。というのも、あとあと改めて個人事業主で消費税の課税事業者になった際に簡易課税の効力が生きていて予期せぬ納税になってしまうといったこともあり得るためです。そのため確実に「事業廃止届出書」を提出して各種消費税の届出をリセットしておくのがベターな選択かなと思います。
また、仮にインボイスの登録事業者であった場合も「事業廃止届出書」を提出すれば廃業日の翌日にその登録の効力が失われることになります。
会社で必要な手続き
法人成りで会社を設立する場合、基準期間(2年前)の売上がないということで2年間は消費税の納税義務がないというのが原則です(別に法人成りだからという話ではありませんが)。
そして納税義務がなければ、高額な課税仕入れが控えていてあえて課税事業者を選択するとか、課税事業者になってからは簡易課税を選択できるように事前の簡易課税の届出をしっかりしようといったことをケアしておけばいいので、基本的には当面の手続きは不要になります。
この原則はインボイス制度が始まっても同様ですが、法人成りするとなれば、すでに売上がある程度ある場合やそれに伴いインボイスの発行が必要ということも多いです。
そうなると設立当初からインボイスの登録事業者になって消費税の納税もするという選択をすることもありますが、その場合はインボイスの申請が必要になります。
申請書の正式名称は「適格請求書発行事業者の登録申請書」というものですが、この申請を設立事業年度中に行う必要があります。
※申請書に設立当初からインボイスの登録事業者になる旨を記載することを忘れずに
また、設立事業年度から簡易課税の適用を受けたい場合は、こちらも設立事業年度中に届出をする必要があるので注意しましょう。
最後に2割特例についてですが、設立から2期目までは2期前の売上がないので基本的には適用できることになりますが、2割特例については特に事前の届出は必要がありません。したがって原則課税と簡易課税のどちらを選択するかを設立事業年度中に判断し、申告までにその選択した課税方法と2割特例のどちらを採用するか判断すれば問題ないことになります。
まとめ
今回は法人成りする場合の消費税の手続きについて個人と会社に分けてまとめました。
個人は「事業廃止届出書」の提出をとりあえずしておく、会社はインボイスの登録が必要ならそれに応じて手続きが必要になりますのでサクッと対応しましょう。
インボイスの制度が始まって条文等の読みづらさにさらに磨きがかかった印象です。今までの条文等にもインボイスの内容が追加されてとか、その内容も経過措置の内容が加味されてとかいったしだいです。
インボイスの条文等に限定しても、例えば免税事業者がインボイスの登録事業者になるにはインボイスの申請に加えて、課税事業者の選択届出が必要です→課税事業者の選択は当面は不要ですみたいな流れになっていると認識していますが、この課税事業者の選択の省略一つとってもすごいわかりづらいと感じています。わたしだけかもしれませんが。
ちょっと調べると、普通に課税事業者の選択の案内も出てくるんですよね。心配になってもう一度調べてやっぱり今は必要ないなと納得するみたいなことをよくしています。
■編集後記
昨日は所沢にある道の駅的なところに行ってきました。
とにかくいろいろな食品が販売されていてお店を回るだけでも楽しかったです。
購入した野菜はどれも新鮮で美味しかったです。
個人的には生餃子とスコーンをなんとなく購入してみましたが、これはヒットしました。
生産者をよく確認しないで袋を捨ててしまったのが悔やまれます。
■一日一新
食の駅所沢店