人生100年時代と言われる時代ですが、実家の裏の畑もいつの間にか大きな老人ホームが建設されもうすぐオープンを迎えますので、老人ホームのニーズってかなりあるなと実感するところです。恐らくわたしの親が介護が必要になったりすれば、いずれはそこの老人ホームにお世話になるのかもとちょっと考えたりもします。
本題ですが、老人ホームに入居するとなると入居に際して入居金を払うことが一般的だと思いますが、この入居金を入居者である妻に変わって夫が払った場合、妻に対して贈与税が課税されるのでしょうか。
今回は妻の老人ホームの入居金を夫が払った場合に贈与税は課税されるのかについてまとめてみようと思います。
扶養親族からの生活費等の贈与に該当すれば贈与税はかからない
贈与税の取り扱いでは、扶養親族からの生活費や教育費等に充てるための贈与で通常必要と認められるものは非課税でよいという取り扱いがあります。普段何気なく子供や孫の学費なり習い事のお金を負担していると思いますが、これについて贈与税が課税されないことの根拠を挙げるならこの取り扱いがあるからと言えます。
また妻が老人ホームへ入居する際に払う入居金を夫が払った場合、その入居金は本来入居者である妻が負担すべきお金なので、夫から妻へ贈与があってそのお金で妻が入居金を払ったと考えることになります。
そしてこの贈与が扶養親族からの生活費等の贈与で通常必要と認められれば贈与税はかからないことになります。ただ通常必要と認められると言われてもよくわかりませんよね。
要は常識の範囲内であれば非課税ですということですが、常識なんて人それぞれですので。次に入居金に贈与税が課税されるか争われた判例があるのでそちらを見ていきましょう。
老人ホームの入居金について贈与税の課税が争われた判例
老人ホームの入居金について贈与税の課税が争われた判例に次の2つの判例があります。
- 平成22年11月19日東京国税不服審判所裁決(入居金945万円)
- 平成23年6月10日東京国税不服審判所裁決(入居金1億3,370万円)
実はこの2つの判例ですが、平成22年の判例は入居金に贈与税の課税はされず、一方で平成23年の判例は入居金に贈与税が課税される結果になりました。※正確には贈与者に相続があって生前贈与加算の対象になるかどうかといった論点でした
まあ、平成23年の判例の場合、入居する老人ホームがかなり豪華なもので入居金も1億3370万円でしたので、さすがに通常必要と認められる生活費等の範疇を超えているだろうという審判所の判断でした。
入居金が1億を超える老人ホームってどんなものか気になるところですが、判例を読む限り居室面積が100㎡を超えていて、共有スペースとしてフィットネスジムやらプール、それにエステサロンも併設されていてそれらを無料で利用できたみたいです。
それに入居者である妻は介護状態ではなく老人ホームも介護付き有料老人ホームではなかったそうです。
これなら、そりゃ通常必要の範疇は超えていると判断されても文句は言えないような印象を受けます。妻に居住用マンションを贈与したのと何が違うのかみたいな話になるのかなと。
なお、2つの判例を読んでいると贈与税が非課税となるかどうかの判断基準には次のようなものがあるようです。
- 入居者の介護度の程度
- 入居者と贈与者の関係性やそれぞれの資金力
- 自宅での介護から老人ホームへ入居されることへの経済面等の合理性
- 入居する老人ホームが必要以上に豪華なものではないか
- 入居金の金額
こういった点を総合的に見て、入居金の贈与が扶養親族から生活費等の贈与で通常必要と認められれば、贈与税は課税されないことになります。
今回紹介した判例は結構極端ですよね。では5,000万くらいの入居金だったらどうでしょうか。正直ケースバイケースとしか言いようがないですね。
老人ホームの入居金の相場感がよくわかりませんが、やはり老人ホームの立地や設備、当事者の年齢や資金力、そして健康状態等を勘案して判断するしかなさそうです。
まとめ
今回は妻の老人ホームの入居金を夫が払った場合に贈与税は課税されるのかについて確認しました。今後この手の相談はきっと増えると思います。
1,000万未満ならほぼ問題ないと思いますが、それ以上になるとやはりリスクはあるかなと思います。贈与税の課税や生前贈与加算の対象になるリスクはお伝えしたうえでのご案内をする必要があるかなと思います。
■編集後記
昨日はエーキドーパンの工場直売所に行ってきました。
ベーグルとかいろいろ売っていました。
でも日曜のお昼すぎでしたので少し品切れもあったようでした。
ベーグルが好きなので、次は平日の午前中に買いに行こうと思います。
■一日一新
エーキドーパン工場直売所