今回は個人が法人へ財産を譲渡する場合の注意点についてまとめてみたいと思います。
時価の半額未満で譲渡すると時価で譲渡したものとみなされる
通常、個人が財産を譲渡する場合、譲渡所得は取引金額で計算を行います。例外の一つとして法人へ財産を譲渡する際に、その取引金額が時価の半額未満だと取引金額での計算はできず、時価で譲渡したものとみなして譲渡所得を計算する必要があります。
この時価の半額未満という基準を、所得税の世界では「著しく低い価額」という言葉を使って表現しますが、ここでいう時価とは通常の取引価額を指しますので世間一般の相場というイメージになります。
まあ、時価という言葉にはある程度幅がありますので、必然的にここでいう「著しく低い価額」にもある程度幅が生じます。そのため、例えば車を法人へ譲渡しようと考えて、ちょっとネットで同様の車種と年式の車の中古取引価額を見つけてきて、その価額の60%で譲渡すれば100%リスクがないとは言い切れないので注意が必要です。
※またこれとは別に行為計算の否認という国税の伝家の宝刀的な規定にも注意が必要です
また、法人側では基本的に時価より低い価額で財産を購入すると時価と取引価額の差額は受贈益として認識することになっています。
ただぶっちゃけそこまで厳密に受贈益を計上するようなこともないかなと。個人側で時価課税されるなら法人側では受贈益を認識するのが筋だと思いますが、通常は個人側で時価課税がされないようにある程度の価額で譲渡してもらうよう案内するので、結果法人側で受贈益を認識しないのが実務かなと思います。
株主に贈与税が課税されることもある
同族会社に対して、時価より著しく低い価額で財産を譲渡したことにより、その同族会社の株価が増加した場合には、株主は増加した株価の金額をその財産を譲渡した人から贈与を受けたものとして贈与税の課税がされることにも注意が必要です。
個人から法人へ著しく低い価額で財産の譲渡があった場合、株主からすれば所有している会社の価値が増えたということで贈与税の課税があるのです。
なおここでいう「著しく低い価額」という言葉は贈与税や相続税においての言葉になりますので、所得税の「著しく低い価額」とは異なり、具体的な金額の基準はありません。
法人側で受贈益を認識しないのと同様に一般的にはそこまで神経質にならなくていいんでしょうけど際どい譲渡をしようと考えるならそういったリスクがあることは理解した方がいいです。
※株主本人が譲渡をする分には贈与税の課税はありません。自分から自分への贈与という構図になるためです
まとめ
今回は個人が法人へ財産を譲渡する場合の注意点についてまとめました。税理士が関与する実務の現場ではこういった課税にならないようにある程度の価額で譲渡をするよう案内があるのがほとんどだと思います。
時価って言われても難しいですよね。正直調べてもよくわからないことも多いですし。リスクを認識しつつ最後はエイヤッと決めて先に進むしかないのかもしれません。
■編集後記
ちょいちょい妻と高校野球を見ています。妻は埼玉出身ではないので、自然と試合をしている高校の学力とかの話になりますね。当然息子が通うならどこがいいかなとかそういった話になるのですが、こうやって話をしている親になったのだと実感しますね。何かしら部活をやるならレギュラーで試合に出れるところに通って欲しいなと考えています。
■一日一新
ベビースターうどん