住宅ローン控除は税額控除の一種で、税額控除とは所得税や住民税そのものを少なくする制度のことです。そして住宅ローン控除では年末の住宅ローンの残高に一定割合を乗じて計算した金額を控除額として、所得税や住民税から控除することになります。
今回は住宅ローン控除の注意点として意外と所得税や住民税から引ききれないことをまとめてみようと思います。
住宅ローン控除の税額控除の仕組み
住宅ローン控除の控除額は冒頭にも書いた通り年末の住宅ローン残高に一定割合を乗じて計算した金額を控除額とします。
現行の制度ですと、子育て世帯が、認定長期優良住宅なり低炭素住宅に該当する新築住宅を購入した場合は借入限度額が5,000万円で控除割合は0.7%、控除期間が13年となり、最も最大の控除額になるパターンになります。
つまり住宅ローン控除の控除額の最大は35万円(5,000万円×0.7%)となります。このように計算した金額をまずは所得税から控除し、所得税で引ききれなかった金額があれば翌年の住民税から次の金額を限度として控除することになります。
住民税の控除限度額=課税総所得金額等の5%(97,500円より高ければ97,500円)
課税総所得金額等は港区のHPで「課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計をいいます。」と記述がありました。所得控除後の所得の合計といった意味合いですね。
限度額の計算では97,500円が上限になっていますが、97,500円を5%で割り戻すと195万なので、割とほとんどの方が97,500円の上限に引っかかるものと思われます。
所得税と住民税から引ききれなかった住宅ローン控除の金額があれば、それは十分に住宅ローン控除の恩恵を受けられなかったことを意味しますので注意が必要です。
住宅ローン控除は意外と引ききれないことがある
では、簡単に次の条件でシミュレーションをしてみようと思います。
- 所得は給与所得のみで年収は600万
- 夫婦共働きで配偶者控除の適用なし
- 子供は一人いるが16歳未満
この場合、基礎控除と概算の社会保険料控除しか所得控除がないのですが、所得税の負担が約20万で、住民税の負担が約30万と計算されました。
住民税は控除限度額が上限の97,500円に引っかかると考えると、住宅ローン控除で税額控除ができる金額は約20万+97,500円となり、仮に30万として住宅ローン控除の控除割合である0.7%で割り戻すと約4,280万という数字が出てきます。
この数字は今回の条件で満額が控除できる住宅ローンの残高を意味していますので、この金額より高い住宅ローンの残高だと、控除できない金額が出てくるということになります。
実際は、所得控除は生命保険料控除なりiDeCoの小規模企業共済掛金控除などいろいろとあるはずなので、同じ年収でももっと所得税の負担が少ないはずです。そうなると満額が控除できる住宅ローンの残高も比例して少なります。
まあ、年収600万で住宅ローンが5,000万というのは結構思い切ったことをしている印象がありますし、住宅の性能等によってそもそもの住宅ローン控除の計算要素である借入限度額が少なくなりますので、控除額も少なくなる傾向があると思います。
結局はケースバイケースですが、計算された住宅ローン控除の金額に比して所得税の負担が少ないと、所得税と住民税それぞれから控除をしても控除しきれない金額が出てきますので、住宅ローン控除もあるからと契約したことが裏目に出ることがあるので注意しましょう。
まとめ
今回は住宅ローン控除で意外と引ききれないことがあることについてまとめてみました。
以前の、住宅ローン控除の割合が1%だった頃に比べれば今は0.7%なので引ききれないことも少なくなったかもしれませんが、一方で特に都心だと住宅を購入するとなると住宅ローンの金額が高くなって、引ききれないことも出てくる傾向があるかなと思います。
それに転職等でたまたま所得が少ないなんて年も13年も控除期間があればあるかもしれませんしね。
住宅ローン控除があるからと思い切って高額の住宅ローンを組んだつもりが、実は控除しきれない金額があったなんてことがあり得ます。
できれば一度シミュレーションをしたうえで住宅ローンを組むことをオススメします。それかあくまで住宅ローン控除は税額が少しでも減るならラッキーぐらいの緩い捉え方をしといた方がいいのかもしれません。
■編集後記
最近株価の動きがすごいですね。
実は先々週くらい(暴落前)にいくつか個別株を購入していたので、それらはマイナスがすごいことになっています。
でも、くじけず今回の相場でもいくつか個別株を購入しました。
基本的に今回購入した株はキャピタルゲイン狙いです。
といっても1年くらいは持ち続けると思います。
なんやかんや初めての取り組みなので楽しみです。
■一日一新
JDL とある処理