相続や贈与で賃貸不動産等の減価償却資産を引き継ぐことがあると思いますが、このときにその引き継いだ資産は中古資産であることがほとんどだと思います。
中古資産だと中古耐用年数の特例という耐用年数を短く見積もって減価償却費の計算が可能ですが、相続や贈与で取得した中古資産にもこの特例を適用できるのでしょうか。
中古耐用年数の特例とは
まず中古耐用年数の特例について簡単に確認します。
中古耐用年数の特例とは、中古の減価償却資産を取得した際に、法定耐用年数ではなく、使用可能期間を見積もってその期間を耐用年数として減価償却費を計算することができる特例のことです。
一般的には使用可能期間の見積もりが難しいので、下記の簡便法と呼ばれる計算式で計算した期間を耐用年数とすることになります。
- 法定耐用年数の全部を経過している場合
法定耐用年数×20% - 法定耐用年数の一部を経過している場合
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
なお、この計算式で計算した年数に1年未満の端数があれば、その端数は切り捨てます。また、計算した年数が2年未満となれば2年となります。
この特例はあくまで、できる規定というやつなので、この特例を適用するかどうかは納税者の判断となります。中古資産を購入した時(正確には事業に使い始めたとき)に特例を適用しなければその後は特例を適用する機会を失いますので、その時その時で適用するかどうかの判断が必要です。
また、中古資産の取得時に事業に使うための修繕等を行うと、その修繕の内容や金額によっては上述した計算式とは別の計算を行ったりする必要も出てきますのでその点も注意が必要です。
そんな中古耐用年数の特例ですが、相続や贈与で取得した資産についても、その資産が中古なら特例が適用できるか疑問がわきます。
耐用年数が短くなればその分減価償却費の金額も増えますので可能なら適用したいところです。次に相続や贈与で取得した資産に特例が適用できるか見ていきましょう。
相続や贈与で取得した資産には適用できない
相続や贈与で取得した減価償却資産には中古耐用年数の特例は適用できません。
これは相続や贈与で取得した資産については、その被相続人や贈与者が適用していた耐用年数が引き継がれるためです。他にも、取得価額や経過年数、未償却残高といった内容も引き継がれます。
また、その相続や贈与で資産を取得した人が、のちにその資産を売却するとなると、譲渡所得の計算が必要になります。その際の長期譲渡所得と短期譲渡所得の判定で用いる取得の時期も引き継ぎの対象になります。
一方で、減価償却費の計算でいうところの取得日は引き継ぐことはありません。そのため減価償却の方法はその相続や贈与時を基準に判定することになります。
全部、引き継ぐならわかりやすいですが一部引き継がない内容もあるので混乱しやすいですね。
まとめ
今回は相続や贈与で取得した減価償却資産には中古耐用年数の特例は適用できないという話をまとめてみました。
結構、忘れたころにやってくる論点です。確定申告の相談会とかでいきなり聞かれると焦ってしまいますね。
なお、相続や贈与でも限定承認による相続や負担付遺贈に該当すると中古耐用年数の特例の適用が可能です。これはこの場合は被相続人や贈与者が財産を売却したとして取り扱うことになっているためです。
限定承認はともかく、賃貸不動産を負担付遺贈で贈与して賃貸経営を引き継いでもらうなんてことは、もしかしたら今後出くわすかもわかりませんね。
■編集後記
昨日は久しぶりにモスバーガーで食事をしました。
最近は席で注文ができるようですね。
久しぶりに食べたら妙に美味しかったのでまた近いうちに食べに行こうかと思います。
その際は席で注文をしてみようと思います。
■一日一新
白いモスバーガー ~クアトロチーズソース~