世の中には相続対策と銘を打って、やれ生前贈与だ、やれ不動産投資だ、やれ保険だ、やれ信託だと様々な対策が紹介されています。
ちなみに一口に相続対策と言っても、節税としてのアプローチ、遺産分割としてのアプローチ、納税資金としてのアプローチに大別できます。
このうちあえて優先順位をつけるなら、恐らく一番重要なのは納税資金だと思います。いや遺産分割も同列かもわかりませんが。
まあこれらに順位をつけることにそこまでの意味はありません。ただ、本当にその相続対策は必要なのでしょうか。今回は相続対策はしないという判断もアリだと思うという話を書いてみようと思います。
結構あおり気味の文言を見かける
わたしの父の事務所には、定期的に知り合いの税理士から大衆向け雑誌の税金関連の記事がFAXで送られてきます。
それをチラッと見ると、まるで相続税を納めることがとんでもないことのような風潮で記事が書かれている印象を受けます。
また、世の中の相続税の節税対策として売られている商品もその売り文句を見てみると、結構あおり気味の文言が散見される印象があります。
保険じゃないですけど、こと税金に関係する商品においても消費者の不安をあおって売るというのは常識なのかもしれません。
もめずに遺産分割が済んで納税資金の工面ができれば問題ない
ただ、このあおり文句ですが、やはりその言葉の裏には自分たちの商品を売りたいという思惑があることは念頭に置いておきたいです。
ぶっちゃけ、相続財産がそれなりにあって、相続税が発生するとしても納税資金の工面ができ、あとは遺産分割の目途が立つなら問題ないという考え方もあります。
相続税の負担があろうと当事者が納得すれば問題ないわけです。親の世代からすれば、下の世代に財産を必ずしも最大限遺さないといけないわけではありませんし、下の世代からすれば相続でいくらかでも財産がもらえればもらえるだけラッキーと捉えてもいいわけです。
たとえば、お金をたくさん持っている親がいたとして、そこに不動産屋が相続税の節税のために賃貸アパートを購入しましょうという営業をかけてきたとします。
そのままお金として持っておいて相続を迎えたとすれば、お金を相続人で話し合って分けて、あとはその相続したお金で相続税を納めればいいだけです。
一方で、不動産屋の提案にのってお金を賃貸アパートに変えたとすると、たしかに相続税の負担は減るかもしれませんが、今度はその不動産を誰が相続するのかとか、納税資金をどう工面するのかといった問題が生じがちです。そのため、相続人からすればお金として遺してくれればなんて思うこともあり得ます。
あえて何も相続対策はしないことで上手くいくなんてことは意外と多いような印象を受けます。
別に相続税を納めたら負けということはありません。
財産の評価間違えや適用できる特例を見過ごして過度に納税をする必要はありませんが、相続人間のわだかまりがなく遺産分割が完了して、適切に計算した相続税額を普通に相続財産から納めることができればそれで御の字と捉えてもいいわけです。
税負担が減った=いい相続だったとは限らないということを頭に入れておきましょう。
まとめ
今回は相続対策はしないという判断もアリだと思うということを書いてみました。
結構、相続のご相談を伺っていると、下手にいろいろしなくてもいいのではと感じることがありますね。
それでも何かしたいならとりあえず、自宅を住みやすくするためにリフォームをする、下の世代の生活費や教育費をいくらか援助する、自分のやりたいこと等にお金を使うとかすればいいかなと思います。
無理して、仕組みもよくわからないものや管理等の手間が生じるものに手を出すことで、その後に後悔してしまうこともあるので、結局は人それぞれの価値観もありますが、あえて何もしないという選択肢もあってもいいのではと考えています。
■編集後記
そういえばライオンズの村田礼音選手が実践復帰をしたそうです。
とても真面目で一生懸命プレーする姿が好印象で、とにかく体が大きいので期待をしています。
今年はがむしゃらすぎたのか1軍での試合中にケガをしてしまいましたが、残り少ない実践機会を来季の活躍につなげてほしいです。
■一日一新
台湾蜜いも ミニストップ