今回は金を売却して売却損が生じたときの税金の取り扱いについてまとめてみようと思います。
※この記事は金の売却損益が総合課税の譲渡所得として課税されることを前提にしています
損益通算は×、内部通算は〇
所得税の計算では損益通算という考え方があります。
そもそも所得税は所得の種類を10個に分けて計算するのですが、これはあくまでその所得の性格に見合った税負担を課そうと考えるためであって、本来はどの所得でもその人個人に生じた所得であることに変わりがありません。
そのため、一方の所得が黒字で、もう一方の所得が赤字なら本来は特に制限を設けずに所得を合算して課税した方が理にかなっているという見方もあるかと思います。
ただ、現状の所得税法では、原則10個の所得のうち、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得で生じた赤字だけ他の所得と相殺できることになっています。
そしてこの赤字の所得を他の黒字の所得と相殺することを損益通算といいます。
なぜ原則4つの所得だけ損益通算が認められるのか、それはどんな理由があったか忘れましたが、まあそもそも赤字の生じない所得もありますし、意図的に赤字を作り出して損益通算をすることを防止するといった観点から現状の制度に落ち着いているのかなと思ったりします。
では本題の金の売却で売却損が生じた場合ですが、その赤字は総合課税の譲渡所得の赤字となります。
なので一見損益通算の対象になる赤字に見えますが、実は金は所得税法上「生活に通常必要でない資産」として扱われ、その「生活に通常必要でない資産」の売却損は損益通算の対象から除外されることになっています。
現状の金相場だとまず金の売却で赤字が生じることはないと思いますが、仮に金の売却で売却損が生じても、他の所得と損益通算ができませんので注意しましょう。
なお、金の売却損でも、総合課税の譲渡所得内での相殺は可能です。
たとえば、金の売却損の他に、事業用の車の売却益があるようなケースです。
この同じ所得内で損益を相殺することを内部通算といったりします。
もし、含み損を抱えている金があったとして、他の売却すれば総合課税の譲渡所得になる資産があるとすれば、それらの売却を同一年に揃えることでいくらかでも節税が見込めるわけです。
生活に通常必要な資産に該当した場合
ここまで書いていてよくわからないというか腑に落ちないことがあります。
それは、たいていこの手の解説を読むと、金は生活に通常必要な資産ではないから売却損は損益通算の対象にならない、という説明で終始してしまうことです。
つまり、上述した内容のことです。
でも、生活に通常必要でない資産に金が該当するのは、1個なり1組の価額が30万円を超えるものに限ることになっています。
なので、金を30万円を超えない価額で売却すれば、それは生活に通常必要でない資産の売却に該当しないのでは?という点に疑問が残ります。
そこの説明がないのがほとんどなんですよね。
ただ、どのみち、「生活に通常必要でない資産」に該当しないということは、「生活に通常必要な資産」に該当するので、それなら、その売却損益は譲渡所得の課税対象にならず、たとえ計算上は売却損が生じたとしてもその売却損はなかったものと扱うはずです。
なので、結果的にどちらに転んでも金の売却損が損益通算の対象にならないという結論に変わりがないのですが、このような、言ってみればどうでもいいようなことが気になるのでした。
※でも内部通算ができるできないという点は取り扱いが変わりますね
まとめ
今回は金を売却して売却損が生じたときの税金の取り扱いについてまとめてみました。
基本的に金の売却損は損益通算ができず、内部通算は可能となります。
ただ、金を30万以下の価格で売却したとすれば、それは生活に通常必要な資産の売却ということで、その売却自体が所得税法上はなかったものと扱いますので、損益通算にしても内部通算にしても扱うのだと思います。
そんなこと実務じゃ起こり得ないと言っちゃえばそれまでですけど。
■編集後記
昨日は家族でしばんばんの期間限定ショップに行ってきました。
刺繍の缶バッジが売り切れで残念でしたが、その他の商品をいくつか購入しました。
その後は妻がハリーポッターのファンなので、タリーズでコラボ商品を物色したり、少し休憩をして帰りました。
帰りの道中で息子のオムツがちゃんと着用できていなかったようで、だっこ紐で息子を抱えているわたしのTシャツまで息子のおしっこが漏れるハプニングもありましたが、そこは渋谷なので至る所におむつ替えゾーンがあり、いろいろ対処しつつ帰りました。
■一日一新
ごろごろばんばんマルシェ渋谷
タリーズコーヒー東急プラザ渋谷店