前回は土地の売買契約をして引き渡しが完了する前に売主に相続が発生した場合の相続税の取り扱いについて記事にしました。
土地の引き渡し前に売主に相続が発生した場合の相続税の取り扱い
今回は同様のケースで買主に相続が発生した場合についてまとめてみます。
※考え方は売主のケースと同じです
引き渡しが完了していないと土地としての評価ができない
土地の売買契約後に買主に相続が発生し、その後に相続人の手で土地の引き渡しが完了した場合、買主の相続税の計算の際に、買主はその土地を所有していないものとして扱います。
つまり、買主の相続税の計算では、売買契約に基づく土地の引き渡し請求権がプラスの財産となり、その土地の購入価額の未払金がマイナスの財産となります。
たとえば、1億円の土地の売買契約を結び、手付金1,000万円を払ったあとに相続が発生したとしたら、土地の引き渡し請求権が1億円、土地の購入価額の未払金9,000万円をそれぞれ相続財産としてカウントすることになります。
結果、買主の相続税の計算では、純額で1,000万円の財産が計上されることになりますが、同様のケースで売主に相続が発生したとすれば、土地の売却価額の未収金9,000万円を相続財産としてカウントします。
これで買主と売主の相続財産にカウントする金額の合計が土地の売買価額の1億円と同額になり辻褄が合うことがわかりますね。
土地として評価できないことの弊害
次に土地として評価できない弊害を確認しましょう。
まあ、結局のところ売主のケースとほぼ同様の内容ですね。
まず土地として評価できれば、時価の8割相当になるのが通常なので、引き渡し請求権として評価すると2割ほどは高い価額で評価することになります。
それに、引き渡し請求権はあくまで土地ではありませんので、小規模宅地等の特例の適用ができません。
相続前に土地の利用実績がないので、そういう意味でも小規模宅地等の特例の適用要件は満たしませんしね。
まとめ
今回は土地の引き渡し前に買主に相続が発生した場合の相続税の取り扱いについてまとめてみました。
基本的には売主のケースと表裏一体の関係にあります。
【追記】
どうも、買主に相続が発生した場合は納税者の選択で引渡し請求権ではなく土地として申告も可能なようです。土地として申告するなら小規模も適用の可能性があるのかも分かりません。ちょっと考えるが面倒なのでどんなケースが想定されるのかパッと思いつきませんが。まあ小規模の適用についてはいずれにせよ慎重な判断が必要です。
※国税庁 質疑応答事例 相続開始時点で売買契約中であった不動産に係る相続税の課税 注3なお書きより
■編集後記
昨日は愛犬のシャンプーでトリミングサロンに行きました。
やはりプロにシャンプーをしてもらうと違いますね。
いつものことですが、とてもキレイになって帰ってきました。
このキレイさをなるべく維持したいものです。
■一日一新
初夏の春巻 食堂のおばちゃん13 Audible