一昨日から連続して賃上げ促進税制の繰越控除制度の注意点について記事にしてきました。
賃上げ促進税制の繰越控除制度の注意点①~赤字でも申告が必要という点~
賃上げ促進税制の繰越控除制度の注意点②~繰越をするには毎期申告が必要という点~
今回は、最後の注意点として、給与が増加しないと控除ができない点について取り上げてみようと思います。
給与が増加しないと繰り越した金額を控除できない
今年の税制改正で導入された賃上げ促進税制の繰越控除制度には実は落とし穴があります。
それは、繰り越しをした税額控除額をいざ控除する期においても、給与の増額がないと控除ができないという点です。
賃上げ促進税制を適用した最初の年に控除しきれなかった税額控除額を翌期以降へ繰り越しても、給与が前期より増えた期じゃないと、繰り越した金額を控除することができないのです。
ちなみに、給与が前期比で増えればその多寡は関係ないようで、そもそもの賃上げ促進税制の適用要件である給与が前期比で1.5%以上増えたといったことまでは要求されません。
また、給与が増えて控除ができると言っても、控除できる金額は法人税や所得税の2割という上限は当然についてまわります。
※もしその期でも給与アップに対する税額控除額が計算されれば、繰越額と合わせての控除できる上限となります
なぜこのような制限を設けたのか腑に落ちない
正直この、税額控除額を繰り越しても、給与がアップしない限り控除ができなくしたことは腑に落ちません。
税額がなければ引くことができないのは当然ですし、税額の2割という上限があるのもまあそういうものだから仕方ないという気がしますが。
給与が1円でも増えないと繰り越した金額を控除できませんよというのは、なぜこのような制限を設ける必要があるのかその意味が分かりません。
それにあくまで給与が1円でも増えれば適用ができるという点も中途半端だなと思います。
当初の要件通り給与が1.5%以上増えないと税額控除の土俵に乗れませんよということなら、まだ分かる気もしますが。いやそれも本来は必要ないと思いますけど。
たぶん、制度を作っている人たちからすれば、毎期給与を上げてほしいという思惑があるのかも分かりませんが、そしたら1円でも増えればそれでいいのかと疑問が残ります。
まあ、なるべく控除できる機会を制限したいというのが本音なのかもしれませんが。
いずれにせよ、繰越控除制度を活用する際は、その翌期以降においても相応の税額を生じさせつつ、給与も前期比でアップさせないと控除しきれないことになりますので注意しましょう。
まとめ
今回は賃上げ促進税制の繰越控除制度の注意点ということで、給与が増加しないと繰り越した金額を控除できないという点を紹介しました。
ちょっとこれはせこい改正な気がしますがどうでしょうか。
こんな感じで、今話題の所得の壁問題の改正も、表向きは見栄えが良くても深堀りすると落とし穴があるということがありそうで嫌ですね。
まあ、たぶんそういう改正になるのだと思いますが。
■編集後記
ライオンズの平良投手が来季は中継ぎ起用を承諾したそうですね。
うわさではメジャー挑戦についての条件があるとかないとか。
先発の平良投手も好きでしたが。
来季はリリーフでのいつもの安定した活躍に期待したいですね。
■一日一新
東京風月堂マルイファミリー志木店