財産債務調書とはざっくり言えば、財産がたくさんある人は税務署に財産の一覧を提出してねという書類です。
わたし個人がそう思っているだけかもしれませんが、税理士もこの書類は意外と鬼門というか、提出が漏れたりすることもままあるような印象です。
理由はこれもわたしの主観ですが、お客様の所得状況は把握していても財産状況までは把握しきれていない、報酬が請求しにくい、提出しないことのデメリットが顕在化しにくい、そもそも面倒くさいしどこまで厳密に記載すべきかわかりにくいといったことが挙げられるかなと思います。
この書類について、今年の提出から改正がありますので、取り上げたいと思います。
提出義務者の範囲が拡大した
財産債務調書の提出義務者はもともと次の2つの要件を満たす人でした。
要件①|その年の所得が2,000万を超えること
要件②|その年の12月末時点に3億以上の財産か1億以上の有価証券等を所有していること
これまでの提出義務者の対象は、要件①の所得要件があったので、割と限定される印象でした。
ただ、制度の趣旨は財産がたくさんある人の財産状況を把握したい(もっといえば相続税の課税漏れを防ぎたい)というものなので、所得要件を満たさないけど財産がたくさんある人が提出義務者から漏れていることは、問題視されてきた経緯があります。
そこで2023年分(2024年提出)から提出義務者の対象に次の要件を満たす人が加わりました。
要件|その年の12月末時点に10億以上の財産を所有していること
この提出義務者の範囲の拡大によって、以前から問題視されてきた、多額の財産を所有しているけど、所得はそこまで高額でない人も対象になりました。
10億円以上の財産というとなかなかな金額ですが、それでも規模の大きな地主さんとか、都心の一等地に土地がある場合だと該当することもあるかもしれません。
今までは申告してこなかったけど、今年から申告が必要ということもあり得るので、提出漏れには注意したいです。
提出期限が翌年6月末に後倒しされた
これまでの財産債務調書の提出期限は翌年3月15日でした。
3月15日は、そうです、所得税の申告期限です。
これまでは所得税の確定申告と並行して、財産債務調書の準備が必要だったんですね。
これは意外と厄介なものでした。
だいたい、財産債務調書の提出が必要な納税者は税理士に申告を依頼していると思いますが、忙しくて手の回らない税理士も多かったものと思われます。
そういった現場の事情もあってか、今年の提出からは提出期限が翌年6月末に後ろ倒しになりました。
恐らくですが、税務署としても財産の把握をして、相続税の課税に繋げたいだけなので、6月末まで提出期限を延ばしても特に支障はないと考えているのかもしれません。
2023年分はまだ提出が間に合うので、財産債務調書の提出義務者は忘れずに提出しよう
2023年分は提出期限が2024年6月末(厳密には7月1日)です。
まだ提出期限に間に合いますので、財産債務調書の提出義務者に該当する場合は期限までに提出しましょう。
実際のところ財産の価額はいくらかという問題もあり、これが分からないと自分が提出義務者かどうかも分かりません。その場合は税理士に相談してみましょう。
今回の記事では触れませんでしたが、実は書類の記載内容の簡略化も今回の提出から図られています。
また、財産債務調書を提出すると、過少申告加算税等の軽減措置というメリットがあり、逆に財産債務調書の提出がないと過少申告加算税等の加重措置というデメリットがあります。
税務署はアメとムチを用意しつつ、とにかく財産債務調書の提出を促したいみたいです。
■編集後記
昨日は胡坐をかいて息子を足に乗せていたら、大きい方が漏れていたみたいで大惨事でした。
いつもの咆哮と一緒に、激しめのオナラをしていて笑っていたら、オムツがズレていたのかお漏らしをしていました。
こういったこともあるんだと勉強になりました。
■一日一新
息子に大きい方をかけられる
息子をお風呂場で洗う
マックフロート 3種のかんきつミックス