昨年の10月から始まったインボイス制度ですが、とりあえず始めてみたのはいいものの、何か違うなと思って、インボイスの登録を取り消そうか検討している方もいらっしゃると思います。
そこで、インボイスの登録を取り消す際の注意点についてまとめてみようと思います。
インボイスの登録を取り消す手続き
インボイスの登録を取り消したい場合、税務署にインボイスの取消届の提出が必要です。
届出書の正式名称は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」といいます。
そして、インボイスの登録の取り消しは課税期間単位(個人なら年単位)となっています。
そのため、年の途中で届出書を提出すれば、その後すぐに取り消しができるということではなく、原則届出書を提出した課税期間の翌課税期間から取り消すことができます。
一応提出期限というのものがあって、翌課税期間の初日から15日前の日までに届出書を提出すれば、翌課税期間から取り消しができることになり、それよりあとに提出すると翌々課税期間からの取り消しに回されてしまいます。
たまたまですが、個人事業主や12月決算の会社で、翌課税期間、つまり来年からインボイスの取り消しをしたいと考えれば、明日12月17日がその提出期限となるようです。
この場合、もし18日以降に届出書を提出するとインボイスの登録の取り消しは再来年になってしまうわけですね。
インボイスの登録を取り消しても納税義務が継続することがある
さて、ここで注意点があります。
それは、インボイスの登録を取り消しても消費税の納税義務が、インボイスの登録をしてから2年間は継続されてしまうことがある点です。
※正確には登録から2年を経過する日の属する課税期間まで継続します
これは、免税事業者がインボイスの登録を機に課税事業者になったケースでの注意点です。
恐らく、もともと免税事業者が消費税の課税選択をして、課税事業者になった際にも2年縛りの特例があるのですが、これに合わせたかたちなんだと思います。
例を出すと、今年インボイスの登録をして課税事業者になった個人事業主(本来は免税事業者)が、1年インボイスの運用をしてみてやっぱりインボイスは不要だなと考えて、明日取消の届出書を提出したとします。
そうすると、明日は一応来年からの取り消しの期限に間に合っていますので、来年からインボイスの登録は取り消しをされるわけですが、消費税の納税義務は来年と再来年も生じることになるわけです。
そしてその後は原則通り2年前の課税売上が1,000万円を超えるかどうか等で納税義務判定をしていくといった具合になります。
もともと、インボイスの登録を機に課税事業者になった方からすると、インボイスの登録を取り消しすれば消費税も納める必要はないと考えがちですが、いわゆる2年縛りがありますので注意しましょう。
なお、去年の10月1日を含む課税期間中(個人事業主なら去年の間)に登録をした方の場合は、この納税義務の2年縛りはありません。
あくまで、今年以降に登録をした場合に限って、登録日から2年間は納税義務が絶対に免除されないことになります。
なお、この2年縛りの取り扱いは、個人事業主なら2029年までに登録する際の取り扱いのようです。
2030年以降に免税事業者がインボイスの登録をする場合は、インボイスの申請と合わせて課税事業者の選択届出もする予定になっています。
そうするとインボイスの登録の取り消しの際には、どのみち課税事業者選択届出の方でもともと用意されている2年縛りが機能して同様の取り扱いになるのかなと思います。
このような取り扱いがあるのは、不適切な消費税還付をすることを抑止するためだと思いますが、そういったことを全く考えていないような方にとってはちょっと酷な面もあるかもしれないなと思ったりしました。
とりあえず、インボイスの取り消しをしても、登録日によっては消費税の納税義務が継続することがあるので注意しましょう。
まとめ
今回は、インボイスの登録を取り消す際の注意点ということで、いわゆる2年縛りの話を書いてみました。
去年から始まったインボイス制度ですが、今年からこういったことも検討しないといけないのですね。
まだ、このような相談に直面したことはありませんが、もし直面したら、ちょっとその場でパッと回答できるか不安ですね。
■編集後記
昨日は志木市役所にあさんぽに行ってきました。
最近は朝が寒くて寝坊気味で愛犬を待たせてしまうことが多いのですが、その罪滅ぼしもかねてよく志木市役所に行っています。
志木市役所は8時から駐車場を開放してくれますので、寝坊するととかえってちょうどいい時間になります。
そして昨日はめずらしく宮戸橋の方までひたすら歩きました。
たぶん愛犬もわたしが寝坊したことはこれで水に流してくれたと思います。
■一日一新
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