所得税では○○所得という単語がたくさん出てきます。
10個の所得に始まり、合計所得金額、総所得金額、課税総所得金額といった具合です。
これらは当然ですがそれぞれ意味があって分類されています。
今回はこのうち合計所得金額について取り上げてみようと思います。
合計所得金額は特例の適用判定に影響する
合計所得金額とは10個の所得を計算して、損益通算ができる赤字の所得があればその損益通算をした後の所得の合計を指します。
税理士試験の所得税法を勉強していた時は、当時の先生がよく「合計所得金額は損益通算後、繰越控除前の所得の合計だよ」といった感じで教えてくれていたのはよく覚えています。
そんな合計所得金額ですが、所得税の計算で登場する○○所得のうちでも、かなり重要度が高いといっても過言ではありません。
なぜかというと、特例の適用に所得で制限を設ける際の基準として、この合計所得金額が採用されているためです。
具体的には次の特例の適用判定の際には合計所得金額を基準にした所得要件が設けられています。
- 配偶者控除、配偶者特別控除
- 扶養控除
- 寡婦、ひとり親控除
- 基礎控除
- 住宅ローン控除
また、今年の申告だと定額減税でも、その適用の判断で合計所得金額が登場してきますね。
このように、合計所得金額は所得税の一部の特例の適用要件に関わってきますので、時にその金額がいくらかといったことを正しく理解しておかないと、思いがけず特例の適用ができないといった事態に陥ってしまうので注意が必要です。
特に合計所得金額の計算で注意が必要なケース
合計所得金額は基本的には所得の合計と覚えておけば間違いありません。
といっても次のようなケースでは注意が必要です。
- 繰越控除を適用する場合
- 申告不要の退職所得がある場合
- 特別控除がある場合
まず、繰越控除の適用がある場合とは、純損失の繰越控除や上場株式等の譲渡損失の繰越控除等の適用がある場合です。
こういった繰越控除を適用するとその分だけ当然所得が減りますので、その減った後の金額をもって合計所得金額と捉えがちです。
ただ、先述したように合計所得金額は繰越控除前の金額を指しますので注意が必要です。
次の、申告不要の退職所得がある場合とは、通常だと退職金を貰う場合、「退職所得の受給に関する申告書」という書類を職場に提出し、退職金を貰う時点でその退職金について課税は済んでいるものです。
そのため、この場合、その後に退職所得があるという理由で確定申告をする必要がないのですが、もしそれで確定申告をしなかったとしても、あくまでその人の合計所得金額にはその退職所得をカウントする必要がある点に注意しましょうというわけです。
最後の特別控除の件は、だいたい繰越控除と同じような理屈です。
特別控除とは居住用財産の3,000万控除といった譲渡所得の特別控除のことです。
特別控除は所得税の計算の順番的には所得控除を控除する前の段階で控除することになります。
したがって、合計所得金額を特別控除後の所得で計算してはいけないわけです。
扶養控除等の判定で、対象者が特別控除を適用して税金が出ないから、その人は所得要件を満たしてその特例の適用ができるなんて判断はしてはいけないわけです。
まとめ
今回は合計所得金額について取り上げてみました。
合計所得金額は、端的に表現すれば損益通算後、繰越控除前の所得の合計です。
結構いろいろな場面で合計所得金額を基準にした所得要件が出てきますので、その判定等で間違わないように合計所得金額を正しく理解しましょう。
■編集後記
昨日はライオンズの開幕戦を含む日程のチケットの抽選開始日でした。
とりあえず、開幕3連戦の最終日の日程で抽選の申し込みをしてみました。
上手く当たればいいですけど、結果が楽しみです。
■一日一新
なんばんショコラサンド シュガーロード・キャラメル
&chocolate 柴犬(白)