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役員退職金の基本的な取り扱い

税金

小さな会社の社長(役員)でも退職金を受け取ることは可能です。


たまに、会社から退職金は受け取れないと考えている方もいらっしゃいますが、普通に受け取れます。


ただし、所得税と法人税の両面で税務上の上限のようなものが存在します。


そこで今回は役員退職金の基本的な取り扱いについてまとめてみようと思います。

役員退職金の所得税の取り扱い

まず、個人側の課税、つまり所得税の取り扱いについて確認します。


役員退職金を社長等の役員が受け取ると、それは役員といえど退職所得として扱います。


この点は役員以外の人が受け取るときの取り扱いと変わりません。


基本的に退職所得の課税は以下の点で優遇されています。

  • 退職所得控除がある
  • 2分の1課税がある
  • 分離課税がされる

それぞれ簡単に解説を加えます。


退職所得控除は、勤続年数に応じて計算されますが、勤続年数が20年以下なら「40万×勤続年数」で計算し、勤続年数が20年超なら「70万×(勤続年数-20年)+800万」で計算をします。


2分の1課税というのは、退職金の金額から退職所得控除を引いた金額にさらに2分の1をして退職所得を計算することを指します。


そして分離課税とは、他の所得と合算はせず、退職所得単独で所得税率を乗じて計算することを意味します(税率が低く抑えられる)。


このように退職所得の課税は優遇されていますが、所得税がかかってほしくなければ退職所得控除額の範囲内で会社は払うということになります。


たとえば、35歳の時に会社を作ってからずっと社長をしてきて、70歳になって会社をたたむことを決意し退職金を受け取るなら、35年の勤続年数となり、退職所得控除額が1,850万(70万×15年+800万)と計算できます。


この場合、1,850万までの退職金なら個人側では所得税や住民税は無税で受け取れるわけです。

役員退職金の法人税の取り扱い

役員退職金を払う場合、個人側の課税の取り扱いと同時に会社側の取り扱いにも注意しましょう。


つまり、法人税の取り扱い上、いくらでも退職金を払っていいわけではなく、ある程度妥当な金額を退職金として払わないと経費として認めてもらえません。


そしてその妥当な金額の計算が問題になってきますが、基本的には以下の計算式で計算をします。


最終月額報酬×勤続年数×功績倍率


最終月額報酬とはその言葉通り退職前の最後のお給料の金額を指します。


たしか、このお給料の金額がその役員のこれまでの功績を一番反映しているだろうからとかそんな理由で採用されていたような。


功績倍率は、社長なら3倍、平の取締役なら1倍というのが基本になります。


この点はいろいろ判例があったりするのですが、あまり冒険しない方がいいかなと思います。


そのため、退職金を受け取ることを検討し始めたら意識しておきたいのが最終月額報酬です。


ちょいちょい退職前にお給料を下げてしまうケースを見かけますが、それをしてしまうと最終月額報酬が下がりますので、法人税法上の役員退職金の金額の上限を下げてしまうことに繋がります。


まあ、この点も最終月額報酬が低すぎて役員退職金の上限計算の際に用いるのがふさわしくないとかで争っている判例もあったりしますが、できればリスクは負わない方がいいです。


素直に、退職まである程度のお給料の金額を維持しておくのが肝要です。

まとめ

今回は役員退職金の取り扱いについて所得税と法人税に分けてまとめてみました。


所得税と法人税それぞれで上限のようなものが存在します。


記事だと順番が前後してしまいましたが、基本的には法人税の上限を優先してまずはその範囲での支給を検討します。


そのうえで個人側でどのくらいの所得税や住民税がかかるかを計算し調整を加えていくようなことをします。


もちろんない袖は振れないので、会社にそれだけのお金があることが前提となりますし、税務上の上限を無視して支給してしまうこともあり得ますが。


それと、退職金の支給を検討し始めたら、無暗にお給料の金額を下げないようにしましょう。


お給料を下げてしまうと法人税法上の上限が下がりますので何かとリスクが増えてしまいますので。


■編集後記
昨日はむさしの森珈琲でブログを書いていました。
むさしの森珈琲はすかいらーく系列ですが、わたしが行ったところだとネコ型配膳ロボやタッチパネルでの注文はなくいわゆるフルサービスというやつでした。
この点は、客層がご近所のおばちゃんが多かったのでそこらへんを意識しているのかなと思ったり。
一方でレジは無人のガストとかでよく見るやつが採用されていました。
ちょうどお会計のとき、前のおばちゃんグループが会計前にお金を精算していてさらにタッチパネルの操作でもたついていたので、なんだかチグハグしているなと思ったりしました。

■一日一新
むさしの森珈琲でブログ