相続税の計算では配偶者の税額軽減という特例があります。
この特例は、配偶者が相続する財産については原則1億6,000万までは相続税がかかりませんよというものです。
ただし、この特例を適用したい場合は、相続財産の遺産分割が確定していないといけません。
したがって、相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらなければ、一度未分割での申告をしたうえで、後日分割が確定したあとに特例を適用する形で更正の請求という手続きをする必要があります。
今回はこの配偶者の税額軽減を適用して更正の請求をするときの取り扱いについてまとめてみます。
未分割申告時に申告期限後3年以内の分割見込書を提出する
相続税の申告は基本的に遺産分割が確定して行うことを想定しています。
また、今回取り上げる配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった納税者に有利な特例を適用したい場合は基本的に遺産分割が確定していないと特例が使えないことになっています。
一方で実際のところ遺産分割がまとまらないということは往々にして起こります。
このような場合、分割が確定していないからといって相続税の申告をスルーしていいことにはなりません。
遺産分割がまとまらなければ、その未分割の財産については共有で分割したこととして申告が必要です。
この申告のことを未分割申告と呼んだりしますが、この未分割申告を申告期限までにすることが求められます。
また、この未分割申告をするときに「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を提出することで、その後分割が確定したあとに上述したような分割を前提とした特例が適用できるようになります。
なお、書類のタイトルにあるように申告期限後3年内の分割が求められます。
仮に期限までに分割が整わない場合には期限の延長の申請が必要になります。
分割が確定したら更正の請求をする
未分割申告をしたあとに分割が確定して配偶者の税額軽減を適用する場合、その分割が確定してから4ヵ月以内か、もともとのその相続税の申告期限から5年以内のいずれか遅い日までに更正の請求をすることが必要です。
前者の手続きは相続税法が、後者の手続きは国税通則法がそれぞれ根拠となり、一応手続きを行うための根拠となる法律が違います。
なお、同様のケースで小規模宅地等の特例を適用したい場合は相続税法を根拠にした更正の請求しかできなかったりしますので注意が必要です。
この点、多くのケースで小規模宅地等の特例も同時に適用すると思いますので、結果的に相続税法を根拠にした更正の請求の期限に間に合うように対応していくことが多いように感じます。
まとめ
配偶者の税額軽減は分割が確定していないと適用できない特例です。
一方で申告期限までに遺産分割協議がまとまらなくても、申告期限までに未分割申告が必要です。
このとき「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、その後に分割が確定したら特例を適用して更正の請求が可能となります。
そしてこの場合の更正の請求の期限は基本的に分割確定後4ヵ月以内となりますが、一応国税通則法を根拠にもとの相続税の申告期限から5年以内でも更正の請求ができることになっています。
ただし、同時に適用することが多い小規模宅地等の特例については分割確定後4ヵ月以内の更正の請求が必要となりますし、手続きを後回しにしてもいいことがないので、どのみち4ヵ月以内の期限には間に合うよう動いていくことになるかなと思います。
■編集後記
今日はライオンズの今井投手が先発でしたが、恐らく熱中症で緊急鋼板をしてしまいました。
心配です。
無理だと思いますけど大宮に移転してくれればいいのになと思います。
■一日一新
みよちゃん食堂