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精算課税の贈与をするときは権利義務の引継ぎのリスクも頭に入れておこう

相続

人生100年時代と呼ばれる昨今。


あまり考えたくはありませんが、親より先に子が亡くなってしまうというケースも、十分起こり得ます。


実際、90歳を超える方の相続税の申告案件を見ていると、60代~70代の子が先に他界しているケースに一定の頻度で出会います。


そこで今回は、精算課税を利用した贈与を行う際に、あらかじめ想定しておきたい権利義務の引継ぎの論点について取り上げてみようと思います。

親より子が先に亡くなると起こる権利義務の引継ぎ

精算課税を選択して贈与をした場合、通常は贈与者(親)が亡くなったときに、その贈与財産を相続財産に合算して精算します。


では、もし贈与者である親よりも先に、受贈者である子が亡くなってしまった場合はどうなるでしょうか。


この点、精算課税の納税の権利義務が子の相続人(子の配偶者や孫)に引き継がれます。


したがって、その後に親の相続が発生したときには、子の相続人がその子が親から受けた精算課税の贈与について精算の手続きをしなければならないのです。


実際に贈与を受けたのは子であり、子の相続人自身は贈与を受けたわけではありません。


それでも、親の相続時にはその贈与財産を相続財産としてカウントし、贈与時に納めた贈与税を精算することになります。


なお、子の相続人が贈与をした親だけならこのような権利義務の引継ぎはなく、その権利義務は消滅しますが、そうでない場合には必ず親の相続のときに精算される仕組みになっているのです。

子の相続の分割内容に関わらず権利義務は引き継がれる

ここで注意したいのが、精算課税の権利義務の引継ぎが子の相続時の分割内容に関係なく、相続分に応じて引き継がれるという点です。


たとえば、父が子に不動産を贈与して精算課税を選択したとします。


その後、子が先に亡くなり、その数年後に父の相続が発生したとします。


この場合、子の相続でその不動産を子の長男が取得したとしても、次男や配偶者などの他の相続人も相続分に応じて精算課税の権利義務を引き継ぐことになります。


父から子へ贈与、子から子の各相続人へ相続と贈与財産が渡っていれば、まだ権利義務の引継ぎも受け入れやすいと思いますが、贈与財産を相続で取得していない相続人も相続分に応じて権利義務だけは引き継がれる仕組みなっています。


まあ、贈与財産自体を取得していなくても、その権利義務の引継ぎに見合う財産を子の相続のときに各相続人が確保できていればいいですが、それこそ遺産分割の内容が偏ってしまった場合には後々トラブルを招くこともありますので注意が必要です。

まとめ

最近は精算課税の贈与を検討されている方も多いと思います。


精算課税の贈与はたしかに2024年の改正によって便利になっており、実際に採用するケースも増えているようですが、一方で思わぬ課税が起こるリスクもあります。


今回の贈与者より先に受贈者が亡くなってしまうケースも、今の時代、決して無視できないリスクかなと思います。


まあ、この取り扱いがあるから精算課税の贈与を控えるということにはならないと思いますが、一応精算課税の贈与をする前にこういうこともあるよということは頭に入れておくといいのかなと思います。


■編集後記
今日はいっときすごい雨でしたが、その後は雨がやんだので愛犬と志木市役所に行ってきました。
そしたら柳瀬川と新河岸川がすごいことになっていてびっくりでした。
そんなに長時間降ったような印象はなかったので、これだけ水位が上がるのは衝撃でした。
この水没しているところ、いつもはここに来ると必ず愛犬と通るところですが、ここが水没しちゃうんですね。

■一日一新
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