最近は一定の頻度で、相続人の中に海外に住んでいる方がいらっしゃる事案に出くわします。
そこで今回は、そういった海外に住んでいる相続人が日本の実家について「家なき子特例」を適用するときの注意点について取り上げてみようと思います。
家なき子特例の主な要件
「家なき子特例」とは、小規模宅地等の特例の一種で、一定の要件を満たした場合に相続した実家の土地について特別に評価減できる制度です。
この「家なき子特例」ですが、主な要件は次のとおりです。
- 亡くなった人に配偶者がいないこと(=二次相続であること)
- 亡くなった人が一人で自宅に住んでいたこと
- 相続前3年以内に、取得者やその親族等が所有する日本国内にある不動産に住んだことがないこと
- 取得者が相続時点で住んでいる自宅を過去に一度も所有していないこと
- 相続税の申告期限までその自宅を所有していること
基本的には、二次相続において、亡くなった人が一人で住んでいた実家を、ずっと賃貸暮らしをしていた子供が相続するときに適用できる特例というイメージになりますね。
相続人が海外に住んでいる場合の注意点
まず海外に住んでいる相続人だからといって、「家なき子特例」がすぐに制限されるわけではありません。
海外でずっと賃貸暮らしをしていたような相続人なら、日本で賃貸暮らしをしていた相続人とほぼ同様に適用の可能性があります。
一方で海外の自宅を本人かその親族等が所有していると注意が必要です。
具体的には先述した要件のうち、次の2つの要件について注意が必要になります。
- 相続前3年以内に取得者やその親族等が所有する日本国内にある不動産に住んだことがないこと
- 取得者が相続時点で住んでいる自宅を過去に一度も所有していないこと
ここで重要なのは、1の要件では、その対象になるのがあくまで「日本国内にある不動産」に限定されている点です。
逆に言えば、2の要件では、「日本国内にある不動産」に限定がされていません。
たとえば、取得者の配偶者が所有している海外の自宅に住んでいるケースでは、その自宅は日本国内の不動産ではないため1の要件に引っかかりません。
さらに、取得者本人が所有しているわけではないので2の要件もクリアできます。
したがって、他の細かい要件も満たせば特例が適用できるわけですね。
一方で、取得者自身が海外の自宅を購入して住んでいる場合には注意が必要です。
この場合、1の要件はクリアできますが、2の要件にひっかかるため、特例を受けられなくなってしまいます。
つまり、1と2の要件は一見似ているように思いますが、厳密に要件を追っていくとその射程が意外と異なっていて、いずれにせよ両方の要件をクリアする必要があるので注意が必要です。
まとめ
今回は、海外在住の相続人が「家なき子特例」を使うときの注意点について取り上げてみました。
「家なき子特例」は要件が細かいので慎重な判断が必要です。
特に、海外に住んでいる相続人が適用を検討する際には、判断の難易度が上がります。
「家なき子特例」には取得者の自宅について2段構えの要件が用意されていますが、それら両方をクリアしないと適用できませんので注意しましょう。
■編集後記
今日のライオンズはファイターズ相手に、7回に一挙5点をとってそのまま逆転勝ちでした。
こんな日もあるんだなという勝ち方でしたね。
残り試合は少ないですが、できるだけ勝って終わってほしいなと思いつつ、この際、ドラフトも考えて順位は5位でいいので、2軍の若手をたくさん1軍に呼んで経験を積ませるようにしてもいいのではと思ったりしています。
■一日一新
今夜、喫茶マチカネで Audible