昨年の税制改正により、相続時精算課税制度を選択した場合でも、110万円の基礎控除が認められるようになりました。
これにより、相続が発生した年に贈与があった場合に、あえて精算課税を選択することで110万円までの金額については相続税がかからないケースが出てきます。
この場合に精算課税の届出をするときは、提出先や届出期限について注意が必要です。
届出先に注意しよう
まず届出の提出先に注意が必要です。つまりどこの税務署に提出するかという話です。
この点、贈与税は、財産を受け取った人(受贈者)が納める税金です。
そのため、通常は精算課税の届出も受贈者本人が、自分の住所地を管轄する税務署に提出します。
しかし、相続があった年の贈与について精算課税を適用したい場合は、亡くなった人(被相続人)の住所地を管轄する税務署に提出することになります。
親と同居していたり、同居していなくても同じ市に住んでいるとかなら関係ありませんが、隣接する市でも意外と管轄の税務署が違うこともあります。
提出先を間違えただけで手続きが認められないため、この点は注意が必要です。
届出期限に注意しよう
次に届出期限も注意が必要です。
こちらもまず原則を確認しますが、精算課税の届出は贈与税の申告期限(贈与があった年の翌年3月15日まで)に行うのが原則です。
通常は贈与税の申告と同時に届出を出しますが、改正後は基礎控除以下の贈与で贈与税の申告が不要でも届出だけ提出するケースもあります。
一方で、相続があった年の贈与について精算課税を選択する場合は、期限が少し特殊になります。
この場合は、贈与税の申告期限か相続税の申告期限のどちらか早い方が届出期限となります。
相続が年の前半に発生したなら、相続税の申告期限(相続開始から10ヵ月以内)が早いので、相続税の申告と一緒に届出が必要となります。
逆に相続が年の後半に発生したとなると、贈与税の申告期限(翌年3月15日)が届出期限となるわけですが、割とタイトなスケジュールとなります。
相続が発生した日で、届出期限が変わってきますので、事前にスケジュール管理をしておくことが大切になります。
なお、相続があった年の贈与税の申告自体は、精算課税を適用する(相続税が課税される)なら必要ないです。
これは、贈与税の申告をして納税をしたとしても、どのみち相続税で精算されるので、贈与税の申告をするのは手間なだけだからです。
まとめ
昨年の税制改正で、相続があった年に贈与をしていた場合、精算課税をあえて選択して節税をすることを検討する必要が出てきました。
そして、この場合、精算課税の届出をすることになりますが、届出をする際には提出先と届出期限の2つが通常と異なってきます。
「どの税務署に提出するのか」、「贈与税の期限と相続税の期限、どちらが早いのか」をしっかり確認して適切な手続きをするようにしましょう。
■編集後記
先日手続きをした、ティファールの電気ケトルの交換品が届きました。
ケトル本体ではなく電源プレートだけの交換でした。
交換対象の電源プレートは配送時の箱をそのまま再利用しての返送です。
かなりスムーズに返送もできました。
こういう対応をしてもらうとやっぱり好印象ですね。
■一日一新
昆布森