小規模宅地等の特例は相続税の計算で肝になる特例のひとつです。
この特例は、複数の特例が適用できる土地が相続財産にあると、どの土地について特例を適用するか選ぶ必要がでてくることがあります。
そこで、その選択をするときに少し頭に入れておきたいことをまとめてみようと思います。
基本は減額単価が高い土地を優先
この特例には、面積の上限があります。
たとえば居住用なら330㎡まで、事業用なら400㎡までといった具合ですね。
そのため、この面積の上限に引っかかる場合には、どの土地について特例を適用するか選ぶ必要があります。
目安としては、
- 路線価が高い土地
- 面積が大きい土地
- 評価減の割合が高い土地(貸付用よりも居住用や事業用を優先)
といった土地を優先することになりますが、正確にはそれぞれの土地ごとに、減額できる㎡単価を計算して一番有利なものを選ぶことが多いです。
全体を見据えることも忘れずに
たとえば、自宅と貸家があったとして、自宅を配偶者、貸家を子供が相続するようなケースがあったとします。
このとき、よくありがちなのが、自宅の方が路線価も高いし、特例の適用要件も緩いからと何気なく自宅を優先して特例を適用してしまうことです。
この場合、配偶者はもともと配偶者の税額軽減という特例が適用できますので、ほとんどのケースでどのみち相続税はかかりません。
したがって、自宅よりも貸家の土地に特例を適用した方がトータルの税負担が抑えられることもあります。
また、一次相続のときにはたしかに一番税金が低くなる選択をしたとしても、二次相続まで含めると損してしまうようなケースも起こり得ます。
単純に減額単価に応じて決めればいいかというと、そうとは限らないので注意が必要です。
家族でどの土地について適用するかよく話し合っておく
また、どの土地について特例を適用するか家族で話し合う際には、基本的に特例を適用する土地を相続した人が得をする制度であることも共有しておくようにしましょう。
というのも、相続税の計算は少し複雑で、
- 一度すべての財産の評価をして合計(この時点で特例の評価減がされる)
- いったん法定相続分で分けたものとして相続税の総額を計算
- その相続税の総額を実際の取得割合に応じて分ける
というような計算をします。
そのため、特例をどの土地について適用するか決めるかという話は、「誰の税金を減らすか」という話でもあります。
先述した、減額単価等の点を考慮することで全体では税金が減っても、ある相続人から見れば「自分がもらった土地に特例を使ってくれた方が得だったのに…」ということも起こり得るわけです。
したがって、どの土地に特例を使うかを家族で話し合う際には、「こうやって適用すれば全体の税金が減るから」といった話もしたうえで、みんなで納得しておくことが大切です。
なお、後からこの点について調整をするためのお金を渡したりすると、場合によっては贈与税の課税にもつながるので注意が必要です。
■編集後記
今日は妻と息子と一緒に航空公園へ。
秋晴れで気持ちよかったですが、航空公園はちょっと広すぎですね。
息子がいると、遊具があるような場所に移動するだけで大変です。
駐車場をちゃんと選べばいいのかもですが。
■一日一新
息子と航空公園