PR

スタッフを増やして賃上げ促進税制を適用できそうなときに考えたいこと

税金

スタッフのお給料を増やすことで適用できる税額控除の制度に、「賃上げ促進税制」というものがあります。

この制度は、これまで何度も改正されてきましたが、現在運用されている制度では、決算書上のお給料の金額が前期比で1.5%以上増えていれば適用できます。

以前は細かい要件が多く複雑でしたが、今は単純にお給料の総額を前期と比較するだけなので、非常に利用しやすくなっています。

ただし、依然として「利益ありき」の制度であり、意外と税額控除をしきれないケースも多いため、注意が必要です。

利益をどう出すか

賃上げ促進税制は「黒字が前提」の制度です。
もっといえば、法人税を納めていなければ税額控除は受けられません。
納税がなければ、控除する税額そのものが存在しないからです。

また、この制度では控除できる金額の上限が「法人税額の2割」とされています。

たとえば、前期よりお給料が300万円増えた場合(2.5%以上増加)、その3割にあたる90万円が控除可能額となります。

しかし、その年の法人税が100万円だった場合、その2割である20万円が控除上限となるため、その年は20万円しか控除できません。

仮に90万円をフルに控除したいなら、法人税が450万円(=90万円 ÷ 20%)必要になります。
利益ベースでいえばおおよそ2,200万円程度。
かなりハードルが高いですよね。

したがって、賃上げ促進税制を上手く活用したいなら、利益をどう確保するかが大事なポイントとなります。

役員報酬を下げることも検討してみる

黒字を確保するための一つの方法として、「役員報酬の見直し」があります。

もちろん、社長の生活もありますので、その点は十分に考慮する必要がありますが、役員報酬を下げて利益を調整するのは、比較的取りやすい対応です。

もっとも、役員報酬は基本的に定時株主総会で改定するのが原則ですので、タイミングにも注意が必要です。

もし来期からスタッフを増やす計画があり、確実にお給料が増えて賃上げ促進税制が適用できそうであれば、次の株主総会で一時的に役員報酬を減額するというのも一つの選択肢でしょう。

なお、役員報酬は賃上げ促進税制の「お給料」には含まれません。
したがって、役員報酬を減額しても、適用判定や控除可能額の計算には影響しません。

繰越控除の制度もできたけど

賃上げ促進税制には、2025年3月期決算から繰越控除の制度が設けられました。

先述のとおり、この制度は納税が前提であり、控除上限の関係から「控除しきれない」ことが多いのが実情です。

新制度により、上限に引っかかって控除できなかった金額は、今後5年間にわたって控除が可能となりました。

ただし、黒字で納税がなければ控除はできませんし、その年の控除上限も引き続き法人税額の2割に固定されています。
※繰越控除額と当期の控除可能額でこの2割の枠を共有します

さらに、繰り越した年もお給料が増えていないと繰越控除ができないという要件もあります。

つまり、繰越控除制度ができたとはいえ、賃上げ促進税制による税額控除をフルに活用できるケースは依然として限られるのかなと。

いずれにしても、賃上げ促進税制の適用を考えるなら、いかに利益を出し、納税額を確保するかを意識することが大切ですね。


■編集後記
最近、かきたま汁をマスターしました。
いつも卵で白くなっていましたが、動画で勉強して割と上手に作れるようになりました。
味付けの変更も簡単ですし、卵と適当な野菜で栄養もとれると思うので、息子のごはんでも重宝しています。

■一日一新
ガストプリン