小さな会社では、会社と社長のお金が行き来することはよくあります。
社長が会社にお金を貸す場合と、会社が社長にお金を貸す場合では、それぞれ注意点があります。今回は、その中でも 「会社が社長に貸す場合」 のポイントを書いてみます。
会社は社長から利息をもらわないといけない
会社が社長にお金を貸したときは、基本的に利息をもらう必要があります。
誰かにお金を貸したら通常は利息をもらうものなので、当然と言えば当然のことです。
もし、利息を取らずに貸してしまうと、税務署から「本来もらえるはずの利息があったはず」と言われて、その利息分を会社の収益として計上しなければいけなくなることがあります。
利息の目安は、2025年に貸し付けた場合で0.9%です。
これは国税庁のタックスアンサー「No.2606 金銭を貸し付けたとき」で確認できます。
なお本来は、利息をもらっていないとその利益は社長への給与として扱われることになっています。
ただ現実には、給与扱いになるとやっかいな処理になるため、税務調査で税理士が立ち会っていれば 「未収利息を計上する」という方向で落ち着くことが多いかなと思います。
貸付金自体が給与になるリスクもある
もうひとつ気をつけたいのは、貸したお金が返ってこない状態が続くことです。
- 返済の予定を決めていない
- いつまで経っても返済されないまま
- 利息をもらっていない
こうした状態だと税務署から「これは貸付金ではなく、会社が社長にお金をあげたのと同じでは?つまり給与では?」と見られる可能性があります。
給与とされてしまうと、社長には所得税や住民税、会社は経費にできないし源泉徴収も必要というかなりやっかいな結果になります。
ただし、この点も、「返す意思はあります。贈与ではありません」と粘り強く交渉すれば、貸付金として扱ってもらえる余地はあります。
贈与は、当事者双方が「あげます、もらいます」と意思表示したときに成立します。
つまり、当事者が
「渡したつもりはありません」
「もらったつもりもありません」
と主張すれば、贈与契約は成立しないと考えられるからです。
もちろん、これはあくまで本当に返す意思があることが前提で、その後は実際に返済していく努力が必要なのは言うまでもありません。
まとめ
会社が社長にお金を貸すこと自体は問題ありませんが、そのままにしておくと税務上の指摘を受けやすい論点でもあります。
押さえるべきポイントは次の2つです。ポイントを押さえてなるべく早く返済するのがベターです。
- 会社は社長から利息をもらうこと
- 返済の意思と実績を示すこと(返さないままだと給与扱いの可能性)
また、社長への貸付金が多くなりすぎると、銀行からの融資審査でもマイナスに見られることがありますので、その点も注意しておきましょう。
■編集後記
県連マンスリー(税理士会の情報誌)を読んでいたら、最初に勤めていた税理士法人の一つ下の後輩(たぶん)が独立していました。
彼が入ってきてすぐに私は退職したので、特別仲が良かったわけでもなく、その後に連絡を取り合う関係でもありません。
それでも、こうして名前を見ると、当時のことをいろいろ思い出しますね。
よく見ると、後輩と同い年の方ももう一人独立されていました。
いよいよ埼玉でも、自分より若い世代が独立し始めたのかと思うと、なんだか考えさせられるものがあります。
■一日一新
外でストライダー

