自宅を売却して売却益が生じる場合に譲渡所得の申告で適用の可能性がある特例は主に次の3つになります。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 居住用財産の軽減税率
- 居住用財産の買換えの特例
この内、3,000万円の特別控除と軽減税率は併用が可能であり、適用要件もクリアしやすいのでまずはこの2つの特例を適用できないかを検討することになります。
今回はこれらの特例についてまとめてみたいと思います。
居住用財産の3,000万円特別控除
居住用財産の3,000万円特別控除とは文字通り、収入金額から取得費と譲渡費用を引いて計算した譲渡所得から3,000万円を控除しますという制度です。
不動産の譲渡所得は他の所得と分けて課税する分離課税という課税方法をとりますが、税率が所有期間に応じて39.63%と20.315%となります。
仮に3,000万以上の譲渡所得があって3,000万円をフルに控除できれば低い税率(20.315%)だったとしても6,094,500円も節税になるわけですから、とても効果のある特例といえます。
そんな3,000万円の特別控除の特例ですが、適用要件はシンプルです。
ざっくり言えば自宅を売却すればそれだけで適用要件はクリアです。
自宅は所得税の世界の用語で「居住用財産」と定義されています。
これについては先日記事にしたので気になる方は参考にしていただければと思います。
【譲渡所得】居住用財産の意義
売却する資産が「居住用財産」に該当すれば、残りの注意点としては次の5点が挙げられます。
①配偶者、直系血族その他の同一生計親族などの特殊関係者に対して売却した場合は適用できない
②収用の課税の特例、事業用資産の課税の特例などの課税の特例の適用を受ける場合は適用できない
③売却年を含む過去3年間に、居住用財産を売却した場合の特例(この特例、居住用財産の買換えの特例、居住用財産の譲渡損の損益通算・繰越控除)の適用を受けている場合は適用できない
④新居に対して住宅ローン控除を受ける場合は、入居した年を含む前後3年間は適用できない
⑤別荘や一時的に入居していた場合など実質的に居住していたとは言えない場合は適用できない
大事なのは④です。新居を住宅ローンを借りて購入した場合は住宅ローン控除を適用するのとどちらがお得か検討が必要になります。その他の項目はやはりお得な制度なのでここぞの場面での適用を想定していることが伺えますが、一般的には問題になることは少ないかなという印象です。
居住用財産の軽減税率
居住用財産の軽減税率は売却年の1月1日時点の所有期間が10年を超える場合に適用できる制度です。
※先述した3,000万円の特別控除は特に所有期間の縛りはありません
この特例が適用できる場合は長期譲渡所得(所有期間が10年超なので長期譲渡所得に該当します)の所得税率が15%から10%に変更されます。また6,000万円までが10%の対象でそれを超えた分の所得には通常の15%が課税されます。
ちなみに、住民税も同様に軽減税率の特例があり、6,000万円までが4%でそれを超えた分の所得には通常の5%が課税されます。復興特別所得税は特に軽減税率の影響がなく、一律所得税率の2.1%を課税となります。まとめると次の表のとおりです。
所得金額 | 税率 |
---|---|
6,000万以下の部分 | 14.21% (所得税と復興特別所得税10.21%+住民税4%) |
6,000万超の部分 | 20.315% (所得税と復興特別所得税15.315%+住民税5%) |
また、先述した3,000万円の特別控除とほぼ同様の注意点がありますのでこちらも注意しましょう。
①配偶者、直系血族その他の同一生計親族などの特殊関係者に対して売却した場合は適用できない
②交換の課税の特例、居住用財産の買換えの課税の特例、収用の課税の特例、事業用資産の課税の特例などの課税の特例の適用を受ける場合は適用できない
③売却年を含む過去3年間に、この特例を適用している場合は適用できない
④新居に対して住宅ローン控除を受ける場合は、入居した年を含む前後3年間は適用できない
⑤別荘や一時的に入居していた場合など実質的に居住していたとは言えない場合は適用できない
※⑤の内容は国税のHPには記述がありませんが、制度の趣旨を考えれば適用できないと判断した方がいいです
まとめ
自宅を売却する場合は上述した2つの特例の適用をまず検討しましょう。
どちらも比較的、適用要件がシンプルです。
一般的なご家庭が長年居住してきた自宅を売却するなら適用できることが多いです。
自宅を売却して新居を購入した場合には買換え特例もありますが、これは課税の繰り延べといって課税を将来に先延ばしにしているだけとも言えるので、特別控除を優先して適用したほうが有利なことが多いはずです。
■編集後記
昨日は家族(愛犬はお留守番)で入間のアウトレットへ行ってきました。
車で片道1時間くらいをかけて行きましたが、道中車が停まると息子が泣いて動き出すと泣き止むのを繰り返して、それが面白かったです。
アウトレットは正月に行ってからなので約半年ぶりです。
平日なので空いていて快適にお店を回れました。
大体立ち寄るお店はいつも通りですが、息子がいるのでおむつ交換台スペースへも行きました。
同じ系列のららぽーとにはよく行くので、勝手がだいたい同じだなと思ったりしました。
生活圏にららぽーとやアウトレットがあるので、三井不動産の株はいつか購入してみたいですね。
■一日一新
Lil’Donuts & Crepe