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退職所得として課税されることがお得な理由

税金

先日の税制改正大綱でiDeCoの改悪があったという話は、その界隈では割と注目されているようですね。


「iDeCo大改悪!」的なとある動画を見たのですが、ちょっと誤解を与えるような印象を受けました。


そこで、改めて退職所得として課税されることがお得な理由について確認してみようと思います。

退職所得の基本的な考え方

退職所得は所得税の計算上かなり有利な計算をします。


つまり、事業所得や給与所得、不動産所得といった日常的に発生するような所得に比べ、税負担がかなり低くなるような計算をすることになります。


このような計算をする理由は、退職金の性格として長年の功労に対するお金という意味合いや老後資金としての意味合いがあるためです。


所得税ではこういった意味合いのある所得についてまで、多額の課税をするのはナンセンスと考えているわけです。


ちなみに、所得税は10個の所得に分けて課税をしますが、その根底にあるのは応能負担とか担税力といった考え方です。


10個の所得はそれぞれ、その所得を得るための背景が違いますので、それぞれに見合った課税をしましょうと考えるわけです。


その中でも、退職所得はその他の9個の所得と比べて、1番優遇されていると言っても過言ではないのかなと思います。


そんなわけで退職所得として課税されることはとてもお得なわけです。


では次に具体的にどのような計算をするから退職所得の課税がお得と言えるのか確認してみましょう。

退職所得の課税がお得なところ

退職所得の課税がお得なところは次の3つの点になります。

  • 退職所得控除額がある点
  • 2分の1課税をする点
  • 税率は退職所得単体でかける点

ではそれぞれを確認していきましょう。

退職所得控除額がある点

まず最初に退職所得控除額についてですが、今回の改悪でまさに改悪のあった箇所がこの退職所得控除額になりますね。


退職所得控除額は、勤続年数なり掛金の払込期間をベースに計算しますが、勤続年数等が20年以内なら40万×勤続年数等で計算し、勤続年数等が20年を超えるようなら800万+70万×(勤続年数等-20年)で計算をします。


たとえば、40年勤め上げた会社から退職金を貰うなら、退職所得控除額は800万+70万×(40年-20年)で2,200万が退職所得控除額となります。


これは結構な金額になりますね。


大企業で勤め上げたとか、オーナー社長が退職するときとかでもなければ、割と退職金の金額が退職所得控除額を下回ることもあるような印象です。

2分の1課税をする点

次に退職所得として課税される場合のお得なところとして挙げられるのが、2分の1課税をする点です。


2分の1課税とはそのままですが、2分の1をしてから課税をすることになります。


先述した、退職所得控除額を退職金の金額から控除して、その残額に対して2分の1をするわけです。


たとえば、40年勤め上げた会社から退職金を3,000万貰ったとしましょう。


そうすると、退職所得控除額が2,200万なので、差引800万が計算され、その金額の2分の1の400万が退職所得の金額になるわけです。


これもやはり大きな優遇計算と言えます。


特に退職金の金額が大きければ大きいほどその効果は大きくなりますね。


ちなみにこの点は効果が大きいためか、5年以内の勤続年数で退職した際に退職金を貰うと、制限を受けることになっています。


これは、いわゆる天下りをする人たちが天下り先を転々とする中でその都度退職金を貰って、退職所得課税の恩恵もその都度受けていたとか、外資系の会社とかだと、数年の契約で普段の給料は少なくして契約終了時に退職金としてまとまったお金を支給するようなケースがあるとかないとかで設けられた特例です。


なので、一般の方にはそう影響はないのかなと思います。

税率は退職所得単体でかける点

最後は税率を退職所得単体でかける点です。


これは分離課税と言ったりします。


つまり、退職所得の金額は給与所得や事業所得といった所得と合算してから税率を乗じるのではなく、退職所得単体で税率を乗じるわけです。


なお、ここでいう税率は普通の所得税率で超過累進税率のアレです。


これもやはり有利な取り扱いです。


超過累進税率ということは、所得が高ければ高いほど税率が上がってしまうわけです。


そこで、他の所得と合算することになれば、税負担が増えるのは明白です。


退職所得については、単体で税率を乗じることになっていますので、この点も退職所得の計算がお得な点として見過ごせないところになります。

退職所得控除額で改悪があったとしても、2分の1課税や分離課税の恩恵は残る

さて、ここまで退職所得の計算のお得なところを確認してきました。


そこで、わたしが冒頭の動画を見て気になったのが、退職所得控除額が今回の改悪で1,000万とか減るぞと強調している点でした。


もちろんそれは事実なんでしょうけど。


退職所得の計算では、退職所得控除額の先にも、2分の1課税や分離課税の恩恵もあるわけです。


なので、たとえ、今回の改悪の影響で1,000万の退職所得控除額が減ったとしても、その影響は1,000万に2分の1を乗じた500万に税率を乗じた金額になるわけです。


そして、ここで乗じることになる税率のボリュームゾーンは恐らく20%とかになるのかなと思います。


住民税を加味すれば30%くらいというわけです。


そうすると税負担の影響としては500万に30%を乗じた150万が増えるという計算です。


もちろん150万も税負担が増えるというのは痛い話です。


でも、たぶんiDeCoを実際に60歳とかまで積立続けることができたような人ならこれくらいの負担増はどうってことないのかなと思ったりします。


つまり、実際に60歳とかになっていくら手取りでもらったかよりも、そこまでに至る過程で家計の収支を投資額込みでプラスで維持してきた、そのことの方がずっと価値があるように思えます。


そしてそんなことができた人なら、ちょっとくらい退職所得の課税が想定より増えたと言っても、そのときになればどうってことないのかなと思ったりします。


なので、過度に心配しなくてもいいのかなと思ったりします。


もちろん今回の改悪がモヤっとするのは事実ですが。


例えば2分の1課税について2回目の退職金については適用しませんよといった改正があったとしたらそんなこと言ってられないような気がしますけどね。


まさかそんな改悪はないかなと思いますが、わたしが受け取る頃にはどんな税制になっているのでしょうかね。


■編集後記
昨日は一足早く我が家ではクリスマスパーティーをしました。
といってもチキンとケーキを食べただけですが。
ねこねこのケーキは初めて食べましたが、甘さ控えめで美味しいですね。
来年は息子もケーキが食べれるといいなと思います。

■一日一新
ケンタッキー クリスマスパック
ねこねこWチーズケーキ