法人成りをする場合、同時に個人の事業は廃業することになりますが、廃業したとしてもその年の1月1日~廃業までの期間の事業所得の確定申告が必要です。
そこで個人の事業所得の計算をする際に個人事業税の見込み控除という論点があります。今回は個人事業税の見込み控除についてまとめてみたいと思います。
廃業した年の確定申告では個人事業税の見込額を経費にできる
通常個人事業税は納付をしたタイミングで経費に計上していると思います。したがって、去年の所得に対する個人事業税を今年の経費に計上するというサイクルになっていますね。
一応法律的に整理すると年内に申告等により納付すべき金額が確定したものを経費に計上するということで、個人事業税については納付の案内が届いて税額の確定がされ、案内が届いた年に経費に計上するという理解になります。
そのため個人事業税の納付は基本的には滞納をしなければ年内(8月と11月の2回)に終わりますので、納付をしたタイミングで経費に計上するという理解でもほぼ問題ないのです。
では法人成りをして事業を廃業した場合はどうでしょうか。通常だと廃業年の個人事業税は廃業した年の翌年の確定申告で経費に計上するということになりますね。
そうすると、廃業年の翌年は事業所得の確定申告をしないので個人事業税の納付があったとしても経費にできないという事態が起きてしまいます。
別に廃業したからといって、廃業年の個人事業税を免除してくれるわけではないのです。廃業年の確定申告の内容で個人事業税が算出されるようなら県税事務所は粛々と納税の案内を送ってきます。
ただ、これだとやはり不憫ですよね。そのため後述する金額を廃業年の個人事業税の見込額として廃業年の確定申告で経費に計上できることになっています。
※法人成りに限らず通常の廃業でも同様の取り扱いです。また見込計上をしなくても更正の請求という最後の手段も残されています
個人事業税の見込控除額の計算式
個人事業税の見込控除額の計算式は以下のとおりです。
個人事業税の見込控除額=(A±B)×R÷(1+R)
A…廃業年の事業所得の金額(見込控除額を経費に計上する前の金額)
B…事業税の計算上の事業所得の調整額
R…事業税の税率
Aの金額は見込控除額を計上する前の廃業年の事業所得の金額ということで、この計算をするには、ほかの諸々の決算仕訳だとかを計上したうえで、とりあえずの事業所得を確定させて初めて計算できることを意味していますね。
Bの調整額というのは、代表例だと青色申告特別控除額は事業税の計算上、経費にできないのでそれを事業所得の金額から足し戻したりとか、年間290万(事業の期間で減額あり)の事業主控除額なるものを控除したりすることが挙げられます。
まあ、正直わかりにくですよね。一応前半部分(割り算の前)が単純な個人事業税の計算式を意味しているのですが、今回の事業税の見込額の計算ではその見込額自体も経費にして計算をする必要があるので、それを加味するのが後半の「1+R」のようです。
とっつきにくい計算式ですが、通常の個人事業税の計算さえ理解できれば後は計算式に当てはめるだけでいいので、細かいことを考えずに計算するといいと思います。
まとめ
今回は個人事業税の見込み控除について確認しました。通常の廃業だと事業が縮小傾向にあって個人税業税の負担がないということも多いと思いますが、法人成りの場合は事業が拡大傾向にあるから法人成りするのが一般的だと思います。
そうすると廃業年も個人事業税の負担があるということになりがちなので、廃業年の個人事業税については忘れずに経費に計上したいものですね。
■編集後記
昨日は部屋の模様替えをしました。
息子が大きくなって、これまで寝てもらっていたクーファン的なかごに収まらなくなってきたので、寝室の床にふとんを敷いて寝てもらうためのスペースを確保するためです。
早速ふとんで寝てもらいましたが、なぜか、下方向に移動してしまうようで朝起きたらふとんから落ちて床で寝ていました。横側は壁的なものを用意していましたが下方向に移動するのは予想外でした。
今日は昨日と向きを変えて寝てもらおうと思います。
■一日一新
Fat Witch New York ブラウニー