遺産分割の方法のひとつに代償分割というものがあります。
不動産など分けるのが難しい財産がある場合に、特定の相続人がその財産を相続し、代わりに他の相続人へ代償金というお金を払って調整するような方法のことです。
今回はこの代償分割をした際に贈与税が課税されてしまうケースについてまとめてみようと思います。
本来の相続財産を超える代償金を払うと贈与税の課税がある
相続税の対象となる財産には、本来の相続財産とみなし相続財産があります。
- 本来の相続財産:預金や不動産など、民法上も遺産分割の対象となる財産
- みなし相続財産:本来は相続財産ではないが、税法上は相続財産とみなされるもの
※死亡保険金など
みなし相続財産は、あくまで相続税法特有の取り扱いであり、民法上の遺産分割の対象にはなりません。
したがって、代償分割にあたって本来の相続財産を超える代償金を支払うと、その超過部分については贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性があります。
要は、代償分割は本来の相続財産の範囲内で行うべき取引だからです。
死亡保険金で代償金を払うようなときは注意
前述のとおり、死亡保険金はみなし相続財産であり、遺産分割の対象外です。
したがって、死亡保険金を原資として代償金を支払う場合には、贈与税の課税リスクが特に高まります。
具体例を示すと以下のとおりです。
■前提条件
□相続財産
- 自宅(2,500万円)
- 預金(500万円)
- 死亡保険金(4,000万円、受取人=長男)
□相続人:長男と次男
■分割の内容ごとの取り扱い
□ 長男が自宅と預金のすべて(計3,000万円)を相続する場合
→ 長男が次男に支払う代償金が3,000万円以内なら贈与税はかかりません。一方で、3,000万円を超える部分には贈与税が課税されます。
□次男が自宅と預金のすべてを相続する場合
→ 長男は本来の相続財産を一切取得しないため、長男が次男に支払う代償金は全額が贈与税の対象となります。
まとめ
今回は代償分割で贈与税が課税されてしまうケースについて取り上げてみました。
本来の相続財産を超える代償金を払うと贈与税の課税がされる可能性があるので注意が必要です。
特に死亡保険金を受け取った相続人が代償金を払って遺産分割を公平にしようと考えている場合は、この贈与税の課税にひっかかる可能性が高くなるかなと思います。
なお、具体例のところでは触れませんでしたが、代償金の上限を判定する際に用いる本来の相続財産の評価額は通常の取引価額、つまり時価である点もポイントです。
相続税評価額ではなく時価で判断されるため、相続税評価額を超える代償金であっても贈与税が課されないケースもあり得ます。
代償分割に限らずですが、相続税や贈与税の計算では、税法の取り扱いだけでなく民法の取り扱いも絡んできますのでやっかいですね。
■編集後記
今日はららぽーとへ。
お目当ては鉄道のイベントです。
しかし、10時30頃には着いたのですが、整理券の配布で長蛇の列が。
列に並ぶのは嫌なので、すぐにあきらめました。
今回はわたしたち夫婦の判断であきらめることができましたが、息子がもう少し大きくなると息子にも納得してもらう必要が出てくると思うと大変だなと思ったりしました。
並ぶのが嫌いなタイプに育ってくれるといいんですけどね。
■一日一新
ますのすし