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売上規模に応じた消費税の計算方法

税金

消費税の基本的な計算構造は預かった消費税から支払った消費税を引くというものですが、売上の規模に応じて具体的な計算方法が変わってきます。


今回は売上規模に応じて変わる消費税の計算方法をざっくりと解説したいと思います。

1,000万、5,000万、5億のラインがある

消費税の計算で基準になる売上のラインには1,000万、5,000万、5億があります。


1,000万のラインは、基準期間(2年前とか2期前)の売上が1,000万以下なら消費税の納税が免除されるというものですね。インボイスの申請をしているなら基準期間の売上が1,000万以下であっても課税事業者になりますが、いわゆる2割特例の適用の判断の際に同様のラインが基準になります。


5,000万のラインは簡易課税のラインです。基準期間の売上が5,000万以下で事前の届出が済んでいるなら簡易課税が適用されます。簡易課税は預かった消費税に事業に応じた割合を乗じて納める消費税を計算しますので、売上だけしっかり管理できていれば消費税の計算ができます。


そして簡易課税ではない消費税の計算方法を原則課税といいます。原則課税では預かった消費税に支払った消費税を差し引いて消費税の計算をします。売上だけでなく仕入や経費もしっかりと管理しないと適切な計算ができないので、それなりに計算のハードルがあがります。


5億のラインは原則課税での計算の際に全額控除方式というものが採用できるかどうかのラインです。全額控除方式というのは、支払った消費税の全額を預かった消費税から引いていいよという計算方法です。


なお厳密には全額控除方式を採用できるのは、その申告年の売上が5億以下であり、課税売上割合(課税売上と非課税売上の比)が95%以上である場合に限られます。申告年の数字で判断することになるので決算になって初めて全額控除方式が適用できないことに気付くなんてこともあります。


全額控除方式を採用できないと個別対応方式か一括比例配分方式という計算方法を採用することになります。個別対応方式で計算をするには、支払った消費税をそれぞれどの売上(課税売上、非課税売上、それ以外)と対応するか分ける必要があり厄介です。


一括比例配分方式ならこの分けることはしなくていいですが、基本的に個別対応方式の方が納税額が減りますので、経理の手間と納税額を比較してどちらを採用するか判断をすることになります。それに一括比例配分方式を一度採用すると2年間は個別対応方式での計算ができないのでその点も加味した判断が必要です。

ときには3つのラインを意識して売上の調整を

ここまで3つの売上の3つのラインで消費税の計算方法が変わることを確認しました。原則課税の全額控除方式は土地を売却した場合など課税売上割合が一時的に下がったときでも適用ができないケースもありますが、基本的には消費税の計算方法は売上に依存します。


3つのラインとも消費税の計算結果に大きく影響があるので、もし年の途中でこれらのラインを超えそうなときは仕事をセーブするなどしてラインを超えないようにすることも検討したほうがいいこともありますね。


仕事をセーブするのは難しいこともありますが、調整ができるような立場なら調整を検討してみましょう。そのためにも日頃から経理をして売上の動向を把握しておくことが肝要です。

まとめ

今回は消費税の計算方法について売上に応じて計算方法が変わってくることについて書いてみました。


普段の売上が4億くらいの会社で、たまたま保養所(共通対応の予定)あたりを購入した年に限って大きな仕事の受注があって売上が5億を超えちゃったなんてケースもよく事例としてあげられます。


たしかその場合は、保養所の利用料を利用者から取るようにすれば課税売上に対応する仕入として扱っていいから、利用料を取るようにすれば問題ないとかなにかで読んだ記憶があります。


でも、この全額控除方式の判定が申告年の数字で判断するのって税理士泣かせですよね。正直売上が5億を超えるような顧問先がそう多くない税理士にとって全額控除方式が当たり前ですから。


■編集後記
昨日聴いた古本食堂ですが神保町を舞台にした物語でした。
まったく前知識もなく聴いたのですが、神保町は税理士試験時代によく通っていたのでなんとなくなつかしく感じながら聴きました。
いくつか食事をしたことがあるお店もでてきてまた食べに行きたいなと思いました。

■一日一新
古本食堂 Audible