障害者控除は、対象者の障害の度合いに応じて通常の控除額(27万)と特別障害者としての控除額(40万)に分かれます。
また、対象者が特別障害者で納税者や扶養親族と同居していれば、同居特別障害者としてさらに控除額が増えます(75万)。
今回はそんな障害者控除の同居特別障害者の区分でいうところの同居について取り上げてみようと思います。
同居特別障害者の控除は自分が同居していなくても適用できることがある
同居特別障害者の控除は、障害者控除を適用する人自身がその対象者と同居をしていなくても適用できることがあります。
これは、ここでいう同居とは納税者自身との同居に限らず、納税者の配偶者や同一生計の親族とその対象者が同居している場合も含まれるためです。
たとえば、子供が親(特別障害者である父と母)と別居をしていたとしても、子供が親に仕送り等をしていて親が子供と同一生計と認められれば、父は同居特別障害者に該当します。
別の書き方をするなら、子供の扶養親族であり特別障害者に該当する父が、子供と同一生計である親族(母)と同居していれば、父は同居特別障害者に該当するわけです。
同居というと、どうしても自分と同居している必要があると考えがちですが、同一生計である親族と同居している場合もここで求められる同居に該当しますので注意しましょう。
両親が二人とも障害者に該当した場合どうなるのか
さて、ここまで書いて腑に落ちないというか、少し調べてもよくわからないことが出てきました。
それは、先述したケースで母も障害者に該当したとしてもここでいう同居に該当するのかという点です。
国税のタックスアンサーには同居特別障害者の解説として次の文章が確認できます。
同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、納税者自身、配偶者、その納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人です。
「その納税者と生計を一にするその他の親族」という言葉には、扶養親族という概念から所得要件や専従者の要件を排除したようなイメージがあります。
しかしそれだけなので、別に障害者である人でも該当する余地はあるのかなと。
個人的には先述のケースの母が障害者に該当して、結果的に両親の二人とも障害者控除を適用(うち父は同居特別障害者の控除)しても問題ないように思えますが。
少し調べると、ここでいう親族から障害者は外れるようなことを記事に書いている方もいらっしゃるようです。
この記事を確認したのでちょっと心配になりましたが、実際どうなんでしょうね。
まあ、上手く言葉にできませんが母が障害者に該当したとすると、それなら両親二人と自分が同居しないとダメでしょうというのもなんとなくわかる気もしますが。
母が障害者に該当しないケースと比較して負担は確実に上がるでしょうし、そこに制限をかけるのもおかしい気がするので、国税の公表している文脈通りに捉えれば問題ないのかなと思いました。知らんけど。
まとめ
今回は同居特別障害者の同居の意味ということでまとめてみました。
別居している両親を扶養していて、一方の親について障害者控除を適用するということは割とよくあるケースだと思います。
この場合、その対象者が特別障害者に該当すると同居特別障害者としての控除の適用の可能性がありますので適用漏れに注意しましょう。
■編集後記
障害者控除でよく思い出すのが、税理士試験の所得税法を勉強していたときに、当時の先生が障害者手帳といった資料がなくても役所でアレコレといった証明を貰えれば適用ができるよと話してくれたことです。
当時は、障害者控除の対象者の範囲が実際狭かったのか、それとも単に詳しく公表されていなかったためか定かではありませんが、基本的に障害者手帳がないと適用ができないようなイメージがありました。
そのため、このときの先生の裏ワザ的な話が、当時大学生で確定申告なんてやったことがないわたしとしてはとても印象に残ったことを記憶しています。さすが先生、こんなことも知っているんだと。
たぶんこの話は現在公表されているタックスアンサーの市町村長等の障害者認定の話だったのだと思いますが。
単純にわたしが無知で実務に詳しい人なら常識の範疇だった可能性もありますが、とにかくやけに記憶に残っています。
■一日一新
サン陸奥 りんご