相続時精算課税の贈与で贈与した財産は贈与者の相続のときに相続財産としてカウントし精算されます。
このとき、その贈与した財産の評価額は贈与時の評価額でロックされます。
これは、贈与した財産が値上がりするようなら納税者には有利に働く一方で、逆に値下がりしてしまうなら不利に働く取り扱いです。
これが今までの相続時精算課税の贈与の精算時の取り扱いでしたが、贈与した不動産が被災した場合に限っては、その被災による値下がり分は相続のときに精算しなくてよくなりました。
今回はこの取り扱いについてまとめてみようと思います。
不動産が被災したら救済されるようになった
2024年の贈与から贈与税の取り扱いは大きく改正が加わっています。
このうち、相続時精算課税の贈与で贈与した不動産が2024年以降の災害で被災した場合には、その被害については救済されることになりました。
今までは、不動産が被災してどんなに価値が低下したとしても、相続税の計算の際に贈与時の評価額で精算が必要でしたが、これからは贈与時の評価額から被災して低下した価値の金額を減額して精算できることになったのです。
なお、ここでいうところの災害とは、地震等の自然災害はもちろん、火災や害虫等による異常な災害も該当するようです。
まあ災害の定義がよくよく考えると曖昧ですが、放火とかはどうなんでしょう。
ChatGPTに聞いてみたら放火も災害に該当し得るような回答がありましたが。。
それに、被災したことで不動産の価値が10%以上低下しないといけない要件もあります。
まあでも、それなりに幅広い災害に対応していると捉えて良さそうです。
特例を適用する際の注意点
この特例を適用する際の注意点として次のような注意点が挙げられます。
- 保険金等を受け取っていたらその金額は救済されない
- 2024年の災害から特例の対象
- 被災したら3年以内に申請が必要
このうち、2と3の注意点について少し解説を加えます。
まず、2の2024年の災害から特例の対象ということですが、これはあくまで2024年以降に被災した不動産が対象というわけです。
つまり、2024年以降に相続時精算課税の贈与で贈与した不動産が特例の対象ではなく、それ以前に相続時精算課税の贈与で贈与した不動産でも、2024年以降に被災すれば特例の対象になるのです。
したがって能登半島地震で被災した不動産も対象となり得ます。
また、3の被災したら3年以内に申請が必要という点も注意しましょう。
被災したら相続税の申告まで何もしなくても特例が適用できるというわけではないのです。
原則、被災後3年以内に「災害により被害を受けた場合の相続時精算課税に係る 土地又は建物の価額の特例に関する承認申請書」という申請書の提出が必要です。
被災して申請どころじゃないこともあると思いますが、3年の猶予がありますので落ち着いたら忘れずに申請をするようにしましょう。
それと、この申請をしたこと自体を相続の時まで忘れないようにすることと、申請書の控えをなくさないようにしておくことも当たり前ですが大事ですね。
まとめ
2024年の贈与税の改正で、相続時精算課税の贈与で取得した不動産が被災した場合は相続税での精算の際に救済されることになりました。
まだ制度が始まったばかりで手探りな部分もありますが、精算課税の贈与で不動産を贈与する(した)場合は、災害があったら救済があるぞという点は頭の片隅に置いておきましょう。
■編集後記
昨日は息子のおもちゃとして救急車のトミカをおろしました。
かなり気に入ってくれたようでよかったです。
意外と硬い素材で、ガンガンと家具や壁にぶつけて遊ぶので家具や壁のダメージが気になりますが。
■一日一新
プティ・クレール志木店