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建物の減価償却費を計算する際の注意点~建物本体と建物附属設備の按分~

税金

今回は建物の減価償却費を計算する際の注意点を書いてみたいと思います。
土地付き建物を購入した場合は、まず土地と建物で按分計算が必要ですが、今回はその先の建物を建物本体と附属設備で分けて減価償却をすることについて取り上げます。

建物は建物本体と附属設備で分けた方が有利

建物は建物本体と附属設備で分けて減価償却をした方が有利になります。
耐用年数が附属設備の方が建物よりも短いためです。


具体的には建物の耐用年数は住居用で木造なら22年、鉄筋コンクリート造なら47年なのに対し、附属設備は基本的には15年となります。耐用年数が短い方が減価償却費の金額が増えますので所得計算上有利になるのですね。


では、そもそも建物を建物本体と附属設備で分ける方法はどうするかというと、一般的には工事の見積書のようなものを施工業者から手配して、そこに記載されている工事ごとの金額で按分といったことをします。


これが意外と手間なんですよね。割引とかもあるしどこまで分けるかも迷うし。

原則は建物本体と附属設備を分けないといけない

前項で、建物は建物本体と附属設備で分けた方が、減価償却費が増えて所得計算上有利と書きましたが、実は通達上は建物は原則、建物本体と附属設備で分けて減価償却することが求められています。


その通達がこちらです。

第2節 建物附属設備(木造建物の特例)
2-2-1 建物の附属設備は、原則として建物本体と区分して耐用年数を適用するのであるが、木造、合成樹脂造り又は木骨モルタル造りの建物の附属設備については、建物と一括して建物の耐用年数を適用することができる。

この通達から読み取れることは、次の二つの事項です。

  • 建物は原則、建物本体と附属設備に分けて減価償却費を計算する必要がある
  • 例外として、建物の構造が木造、合成樹脂造、木造モルタル造のどれかなら建物本体と附属設備に分けないで減価償却費を計算しても問題なし(あくまでできる規定)

この通達の内容ですが、意外と実務の現場では無視されていることが見受けられます。
納税者や税理士側としては、分けるのが手間だったり、そもそも通達の内容を知らないために分けていないことも多いのかなと思います。税務署側も分けなければ納税者不利になるのであえて指摘することもないのかもしれません。


わたしも、特段の事情がなければ建物本体と附属設備は分けるべきだと考えていますが、すでに建物だけで減価償却をしている場合などはあえて修正とかをするまではしないかなと。
耐用年数が短くなるといっても、トータルの経費に計上する金額は変わりませんしね。
わたしは早く減価償却費を計上することにそこまで魅力を感じないタイプです。定率法より定額法が分かりやすくて好きです。

個人事業主の場合は更生の請求ができる

ここまで、建物を建物本体と附属設備で分けることで所得計算上有利なことや、そもそも原則的には建物本体と附属設備で分けて減価償却費を計算する必要があることを確認しました。


では、仮に過年度は建物を建物一括で減価償却費を計算していたことに気付いた場合ですが、個人事業主だと更生の請求ができます。


詳しいことは省略しますが、所得税の減価償却費の計算は強制償却という考え方で計算することになっているためです。※木造等の場合は建物一括の減価償却費の計算もできることになっているので更生の請求はできません


一方で法人の場合は、いわゆる任意償却なので更生の請求はできません。


まあ、実際にそういった個人のお客様に直面した場合はわたしはスルーすると思いますが。


新しく建物を購入して減価償却費を計算する場合は、建物本体と附属設備の按分にチャレンジしてもらえればと思います。


■編集後記
昨日は母がもう一方の目の白内障の手術の日でした。
今日には眼帯もとれ、早速効果を実感しているそうです。
視力が回復したそうで、裸眼で生活ができると喜んでいます。

■一日一新
パイナップルをカットする
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