自民党の総裁選で金融所得課税というワードが議題に出ていたそうです。
また、これまでもネットでたまに金融所得課税について話題になっていることを目にしていますが、国はまたもや増税するのかといった論調で反対をする意見が多いような。
個人的には金融所得課税は強化すればいいと思うのですが。
今回は金融所得課税の強化について思うことを書いてみようと思います。
1億円の壁問題
金融所得課税を議論する際には「1億円の壁」というキーワードが出てきます。
これは、所得税の負担率を所得金額別に見ていくと、ちょうど所得が1億円を超えたあたりから負担率が下がるというデータがあることを指しています。
所得税は基本的に累進課税を採用していますので、所得が増えれば所得税の負担額にしても負担率にしても増えるという理解になりますが、実際はある一定の所得(その所得がたまたま1億円だった)を超えたら負担率は徐々に下がるというデータがあるのです。
このような現象がなぜ起きるかというと、累進課税が適用されるのは基本的にいわゆる総合課税の対象とされる所得であって、金融所得や退職所得には累進課税とは別の課税方法が採用されるためです。
※厳密には退職所得も累進課税ではありますが、総合課税よりかなり税負担が減るよう計算過程が設計されています
つまり、所得が1億円に満たないような一般人は総合課税が多く適用される傾向があり、結果累進課税による税負担をモロに受けることとなります。実際データを見ると、所得が1億円に達するまでは右肩上がりで負担率が伸びています。
一方で所得が1億円を超えるような超富裕層ともなるとその所得のうち金融所得や退職所得の割合が多くなり、結果的に負担率で見ればそこまで多くの負担をしていないというデータが算出されるという傾向があるわけです。
そこで、こういった歪みを是正するために金融所得課税を強化してはどうかという議論が噴出するわけです。
金融所得課税は強化すればいいと思う
わたしは金融所得税は強化すればいいと考えています。やはり所得税の基本は応能負担ですので、上述したような歪みはどうかなと思うからです。
たしか、この話は一昨年だったかな?の税制改正大綱で結構な文字数を使って言及があったような気がするのですが、そこではあくまで金融所得課税の強化と言ってもその全体に対して税率を上げようなんてことは書かれていなかったような記憶があります。
課税が強化される対象はあくまで一定の所得を超えた金融所得といった話でそれこそNISAやiDeCoといった制度は維持というより強化しつつといった論調だったような気がします。実際NISAは今年大きく拡大されましたしね。
この点、結構勘違いしている意見が多いような。正直一般の人にとって金融所得課税の強化によっての影響なんて微々たるもののような気がするのですが。
NISAとiDeCoがこのまま維持されれば多くの人にとって十分な投資枠なわけですし、それを超える分についても一定の所得まではこれまでどおり15%の課税にする。まあ、NISAやiDeCoの活用をもっと強調する代わりにちょっと上げてもいいかもですが。
そして、一定の所得を超えたNISAやiDeCo以外の金融所得については税率を上げる。そんな枠組みなら大いに改正してしまえばいいと思うのですが。
たぶん有能な人材が日本から出ていくとか、株価への影響がどうとかいろいろ意見があるのかも分かりませんが、単純に所得税の原則に沿って制度を作った方がいいかなと思いますし、そういった反対意見も正直税金の制度だけの問題じゃないと思うので制度を変えたからそのような懸念が表面化することもないかなと。
税金の役割としてよく富の再分配というものが挙げられますが、その点でも高額な金融所得を有する人にはちょっと悪いけど課税を強化しますねということでいいんじゃないかなと思います。
まとめ
今回は金融所得課税の強化について、わたしの考えを書いてみました。
個人的には金融所得課税の強化には賛成です。
わたしの勘違いじゃなければ、強化の対象は一定の所得を超えたら累進課税を採用するのかどうかは別にして税率を上げていくというものだったかと思います。
そしてNISAやiDeCoの制度はこのまま維持ないし拡充という方向性だったと理解しています。そのような枠組みなら金融所得課税の強化はしたらいいと思うしだいです。
近年は退職金課税の強化や「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」と呼ばれる特例計算などの税制改正が続いていますが、金融所得の税率も一部メスを入れた方がいいかなと思いますね。
■編集後記
昨日は図書館に借りていた息子の本を返しに行って、ついでにまた息子用の絵本を借りてきました。
途中でゴリラ図鑑なる本が目に留まりましたが、文字がそれなりに書いてあったのでまだ早いかなと思ってやめておきました。
子供用の本のコーナーにも意外と大人が興味が湧くような本がたくさんあるようなので、これからどんな本に出合えるか楽しみです。
■一日一新
会社を解散するときの案内や司法書士との連携