税理士たるもの各税目、ひいては各特例の課税の趣旨を理解することは重要です。若い税理士にとってこのへんは弱いところです。やはりベテラン税理士の方が税法の趨勢を現場でずっと見てきたわけですからそういった傾向になるのは当然です。
そこで先日固定資産税について改めて勉強する機会があったので、固定資産税の課税の趣旨についてまとめてみようと思います。
固定資産税の課税の趣旨
まず固定資産税というと一般的には土地と建物に課税される税金を思い浮かぶことが多いと思いますが、本来は1月に申告をする償却資産税も含めて固定資産税と呼ぶのが正しいです。別にだからどうってこともありませんが。
そんな償却資産税も含めた固定資産税の課税の趣旨ですが、その土地や建物、償却資産といった資産が存在することで何らかの行政サービスを資産が所在する自治体から受けているだろうと考えて、その受益を賄うための税金として課税がされています。
行政サービスの例をあげると道路整備、ゴミ回収、消防、警察、地震等防災対応などが考えられます。こういった考え方ってどこかであったなと思いましたが、地方税の均等割がそうですね。会社で言うところの赤字でも7万円を納めるあれです。
均等割もよく場所代とか言ったりすることがありますよね。わたしだけかもですが。
固定資産税には最低限度額がある
固定資産税はその資産が存在していることで何らかの行政サービスを受けていることに起因して課税が行われると確認しました。
この点をもう少し深堀りすると、どんなに古い資産であったとしても、火事や地震によって被害が生じるリスクがあり(むしろリスクが高くなるとも言える)、これに対処するための消火活動といった行政サービスを受益する可能性があるといえます。
そのため、固定資産税の計算上の固定資産の評価額はどんなに時が経過したとしても一定割合は残るという考え方があります。
具体的には建物なら再建築価額の20%が、償却資産なら取得価額の5%が最低限度額として残り続け課税が行われます。こういったところからも固定資産が行政サービスを受けることに起因して課税がされるという性格が読み取れますね。
まとめ
今回は固定資産税の課税の趣旨について確認しました。ちゃんと課税の趣旨を確認して税金のことを考えるとまた違った見え方をするなと思います。
空き家について固定資産税が増えるというのも、もちろん空き家を減らしたいという政策的な意味合いもあるのだと思いますが、空き家だと倒壊のリスクが増えたりするわけでより行政サービスを受けると考えると税額が増えるというロジックも成り立つのかなと思います。
まあ、いくらそれらしい大義があったとしても償却資産税はなくなってほしいと思いますね。正直どこまでが適切に申告されているかと疑問が残るためです。正直者が馬鹿を見るような制度は良くないと思います。
最悪でも1月に一律で申告ではなく法人税や所得税の確定申告に合わせて申告できるようになってほしいものです。この点も長年税理士会からも改正要望として挙がっている印象ですが今のところ完全スルーですね。
数年前の税理士会でこの話題が挙がって、自治体の担当者の方が「地方税でそう決まっているから1月に申告してもらいます」とかなんとか言っていたのをよく覚えています。だからその地方税を改正してよと言っているんじゃないのと心のなかでツッコミを入れていました。あれで回答になるんだからよくわからないやりとりだなと思ったと記憶しています。
■編集後記
昨日は文明堂のさいたまあおぞら工房へ行ってきました。
3時のおやつあんぱんがお目当てでした。
少しお高めですが美味しいです。
ずっしりしたカステラ生地がお気に入りです。
■一日一新
同志少女よ、敵を撃て Audible