贈与をしたらできれば契約書をつくっておきたいものですが、このとき実は契約書の日付が意外と重要です。
「日付なんて適当に入れてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、税務の場面では、この日付が「贈与がいつ行われたか」を判断する際の根拠になります。
贈与契約書の日付は意外と大事
たとえば、今日(2025年10月14日)、贈与契約書を作成し、実際にお金を振り込むのが10月20日だとします。
この場合、贈与が行われた日は「契約書の日付(10月14日)」と考えます。
お金を振り込んだ日(10月20日)ではないのです。
※不動産を贈与した場合は、登記日が贈与が行われた日になる等の例外はあります
この日付の違いが影響してくるのが、生前贈与加算の判定です。
生前贈与加算とは、亡くなる前の一定期間内に行われた贈与を、相続財産に加えて相続税を計算するという仕組みです。
2024年の税制改正により、この期間は「3年」から「7年」に延びました。
先ほどの例で、もし贈与者が2032年10月17日に亡くなった場合、7年以内の贈与が加算の対象となります。
振込日を基準にすると10月20日の贈与は7年以内ですが、契約日を基準にすると7年を超えて対象外となるわけです。
このように、どの日付をもって贈与があったとするかによって、相続税の負担が変わる可能性があるのです。
確定日付をとって贈与日を確実なものにする
上述したように、贈与契約書の日付は意外と大事なわけですが、この日付をより確実なものにする手段として、公証役場で確定日付をとる方法があります。
確定日付とは、「この書類がこの日に確かに存在していました」ということを公的に証明するものです。
贈与契約書に確定日付が押されていれば、「あとから契約書を作り直したのでは?」といった疑念を避けることができます。
極端な話、先ほどの例で、相続後に相続人があわてて契約書をつくり直して、形式上は生前贈与加算の対象から外すなんてこともできてしまいますからね。
もちろん、税務署も契約書の日付と、実際のお金の振込日に開きがあるならその開きの原因についてはチェックをしてきます。
そこで、確定日付をとっておけば、「変な小細工はしていませんよ」という証拠になるわけです。
ちなみに、費用は1通あたり700円です。
手続きも簡単で、贈与契約書を持って公証人役場の窓口に行くだけです。
たった700円で後々のトラブルを防げると思えば、リーズナブルに安心を買う方法と言っていいかなと思います。
まとめ
贈与契約書の日付は意外と大事です。
日付ひとつで、生前贈与加算の対象になるかどうかが変わってくることもありますので。
そこで、公証役場で確定日付をとることで、その日付を確実なものにできます。
贈与による節税を万全にしたいなら確定日付をとるようにしましょう。
なお、確定日付は贈与の成立を証明するという意味でもいくらか有効です。
もちろん、確定日付自体が、贈与の成立を証明したりするものではありませんので、実際にお金が振り込まれているかとか、そのお金をもらった側が管理しているかといったことの方がよっぽど大事になりますが。
しかし、贈与の成立についてはいかに証拠を積み上げていくかという意識を持つことが大事なので、贈与契約書の存在を裏付ける確定日付もその証明にはいくらかは貢献するかなと思います。
くれぐれも、確定日付をとったから万事OKとは考えてほしくはありませんが。
■編集後記
先日、母がふかし芋を食べたあとにおにぎりを食べたら、喉に詰まらせたらしく、あわや窒息死しそうになったそうです。
ちょうど父が近くにいたのですぐに119に電話をしたら、とりあえず背中をたたくように指示を受けて、その通り背中をたたいたら詰まっていたものを吐き出して無事だったようです。
今では笑い話ですが、高齢になるとこういうリスクが高くなるんだなと改めて認識しました。
母にも言われましたが、息子も同様にリスクがあるので気を付けないとな思いました。
■一日一新
手羽元でチューリップをつくる