今回は相続が発生した年に贈与をしていたときの取り扱いについてまとめてみようと思います。
基本は相続税の課税対象で贈与税の課税はない
相続が発生した年に贈与をしていた場合、その贈与について課税はどうなるのでしょうか。
贈与税は、贈与があった年の翌年3月15日までに申告が必要で、相続税は相続から10ヵ月以内に申告が必要です。
また、通常の贈与なら贈与と相続が連続すると生前贈与加算の適用があり、結果的に贈与税の課税のあと相続税の課税で贈与税を精算する流れになります。
そしたら、まずは贈与税の申告をして、その後に相続税の申告を生前贈与加算を適用する形で行うのでしょうか。
この点、さすがに二度手間になるので、贈与税の課税はスルーして相続税だけが課税されることになっています。
具体的には贈与税の申告はせずに、相続税の申告の際に生前贈与加算の対象としてその贈与財産をカウントするわけです。
このとき、当然ですが贈与税の控除(精算)は行いません。
贈与税を払っていませんからね。
なお、例外として、通常の贈与を受けた人で、その人が相続財産を取得しない場合はその贈与について贈与税の課税があります。
これは、相続財産を取得しない人については生前贈与加算の適用がないため、その贈与について贈与税の課税をしないと、なにもその贈与について課税がされないことになるためです。
相続時精算課税を適用していた時の取り扱いとアレコレ
では相続が発生した年に贈与があったケースで、その贈与が相続時精算課税を適用した贈与だった場合はどのように取り扱うのでしょうか。
この場合も贈与税の課税はなしで、相続税の課税がされることになります。
また、相続時精算課税の贈与の場合は先述したような贈与税が課税されることはありません。
そもそも相続時精算課税の制度がどのみち相続税を最後に課税することが前提になっているためです。
したがって、贈与税の申告はせず、相続税の申告の際に相続時精算課税適用財産としてその贈与財産をカウントすることになります。
なお、その相続が発生した年から相続時精算課税を適用したい場合は、贈与税の申告期限か相続税の申告期限のいずれか早い日までに相続時精算課税選択届出書の提出をすれば適用が可能です。
この場合は、贈与税の申告自体は必要ありませんが届出だけ必要となります。
そして、去年の贈与税の改正で、相続時精算課税にも基礎控除の枠が設けられましたが、そのおかげで駆け込みで届出を出すことで110万円の基礎控除を適用して相続財産にカウントするような計算をすることになりました。
したがって、ちょっとした節税のテクニックとして取り上げられたりもするそうです。
実際そんなことするのかと思いますが。
こういう対応もデフォルトでするか、事前に説明しないといけなくなっていくのでしょうかね。
まとめ
今回は相続が発生した年に贈与をしていたときの取り扱いについてまとめてみました。
贈与と相続が連続する場合、生前贈与加算や相続時精算課税の制度が適用されることで結果的にその贈与財産について相続税が課税される仕組みがあります。
この仕組みが適用される場合には、相続が発生した年の贈与については贈与税の課税がなく、相続税の課税で終始することになります。
どのみち、本来の終着点である相続税の課税がされれば問題ないと捉えるわけですね。
■編集後記
最近保育園の入園に向けて、保育園の説明会や面接を経ていろいろ進めています。
いろいろ準備するものがあって思っていたより大変です。
といってもほぼ妻任せですが。
どうも、給食に備えていろいろ食べさせてあげないといけないようです。
給食でよくでてくる食材リストを渡されて、リストにある食材は事前に食べておくようにと宿題を出されています。
息子は早生まれですが、早生まれだと今の時期はこういうところで大変なんだなとか実感しているところです。
年をとってくると早生まれでよかったと思う機会が多いですけどね。
■一日一新
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