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贈与税の申告をしていない場合どうなるか

相続

贈与税の申告はしなくてもどうせバレないだろうと考える方もいらっしゃると思います。実際税務署が全ての国民の贈与を把握できているということはないはずで、贈与税の申告をしなくても特にお咎めがないということもあると思います。


ただお咎めがないから万事問題ないということではありません。それはただ問題を先送りにしているだけ、さらにはペネルティも余計に課されるリスクを抱えているなんてこともあるので注意が必要です。

贈与税にも時効がある

贈与税の時効は贈与税の申告書の提出期限(贈与があった年の翌年3月15日)から6年を経過する日までです。他の税金の時効は基本的に5年ですが、贈与税の時効は6年と1年長いです。


また、本来は申告が必要であることを知ったうえで故意に申告していなかったと認めれると時効は1年伸びて7年となります。


では、例えば株式の名義を子供に変更して、この贈与税の申告をしていなかったとして、名義変更をした年の翌年3月15日から7年を経過したとすれば、贈与税の時効を主張でき、贈与税の課税はないと考えていいのでしょうか。


応えはNOです。はなしはそう単純ではないのです。そもそも贈与税の申告がされていない場合、贈与の成立が明確でないことが少なくないのです。次に贈与の成立と贈与税の時効の関係をみていきます。

贈与税の時効の前にそもそも贈与が成立しているかというはなしがある

さきほどの株式の名義変更を例に考えてみます。株式の名義変更が贈与として有効に成立した行為と認められるならば時効が成立することになりますが、この名義変更が親から子供への単なる名義貸しであった場合には贈与は成立しません。そうすると贈与の時効を主張することができません。


贈与税の申告がされていない場合は、株式の名義変更が贈与であるのか、単なる名義貸しか明確でないことが少なくないので、まずはこの名義変更が法的に贈与として認められるかといった検証が必要になります。


もし、贈与が不成立で単なる名義貸しとなれば、例え子供名義の株式であったとしてもその株式は親の財産とされその後に親の相続が発生すれば相続税が課税されることになります。


そのため、贈与の時効を考える前にそもそも贈与が成立しているかどうかの判断が重要です。この判断は当事者の認識や、契約書等の有無、名義変更後の管理状況を総合的に見て判断をします。


もし、時期的に贈与税の時効が成立していない内に調査があれば、その名義変更が贈与に該当するかどうか明確でないものでも、贈与と認められ贈与税が課税されることもあります。この場合は、遅れて申告と納税をするので通常の贈与税に加えてペナルティが発生することもあります。


また、時期的に贈与税の時効が成立した後に調査があったとして、その名義変更が贈与に該当するかどうか明確でなければ、贈与が成立していないと判断され、その名義変更をされた財産は名義変更後も親の財産として、親の相続時に相続財産として扱うよう指導を受ける可能性が高いです。


税務署もすべての贈与を把握しているわけではありませんので、贈与税の申告をしていなくても調査が一向にないということはあり得ます。ただ、どのみち遅くても相続のタイミングで調べ尽くされてしまいます。その際には贈与税の時効の主張をしたところで、結局あの手この手の理屈をつけて課税逃れができないようになっているのです。


こればっかりは贈与を受けたら、粛々とルールに沿って贈与税の申告をするべしということです。

まとめ

今回は贈与税の申告をしていない場合どうなるか、贈与税の時効に絡めてまとめてみました。この論点は課税逃れができないよう上手くできているなと思います。結局いろいろな切り口で課税逃れを防ぐようになっています。


正直者が馬鹿を見るような制度だと税制が成り立たないので当然といえば当然です。贈与を受けたらちゃんとルールに沿って申告をする。当たり前ですが当たり前にするのが一番です。


■編集後記
昨日は自宅に先日合格したコーヒーインストラクター検定2級の修了証やブローチが届きました。
何歳になっても検定とか試験の合格はうれしいものですね。

■一日一新
コーヒインストラクター検定2級 修了証