土地や建物を売却した時の売却収入は分離課税の譲渡所得として課税されます。
このとき、それぞれの資産の所有期間が売却年の1月1日時点で5年を超えていれば長期の譲渡所得として、5年以下なら短期の譲渡所得としてそれぞれ課税されます。
所有期間が長い方の資産に所得区分を合わせるといったことはせず、あくまで資産ごとの所有期間に応じて所得区分を判定するというのがミソになります。
そこで今回は、取得時期の異なる土地と建物を同時に売却して、それぞれの所得区分が短期と長期で異なる場合の譲渡所得の計算方法について簡単にまとめてみようと思います。
譲渡所得の区分が違うと按分計算が必要
相続した土地に建物を建てて、その後何らかの理由で早々に売却するケース等、同時に土地と建物を売却したとしても、売却収入の所得区分が長期と短期で異なるケースが稀にあります。
この場合、その譲渡所得の計算では売却収入を土地と建物の分で分けることから始まり、譲渡費用も同様に分けるようなことが必要になります。
これはそれぞれの所得区分ごとに所得を計算して、それぞれの税率を乗じる必要があるためです。
では、次にどのような按分計算をしていくのか見ていきましょう。
所得区分が異なる場合の譲渡所得の計算
先述したように、同時に土地と建物を売却して、その所得区分が異なる場合、それぞれの所得区分ごとに所得計算が必要になります。
そこで、まずは売却収入の按分が必要になります。
このとき契約書に土地と建物のそれぞれの価額が明示されている場合、その金額に倣えば原則問題はありません。
また、契約書に消費税額の記載があれば、その消費税の金額÷10×110といった割り戻し計算をすることで建物の価額が分かります。
そして、その金額を売却価額の合計から控除することで土地の価額も算定することが可能です。
問題なのが、契約書にはそれぞの価額の内訳も消費税額も記載がないような場合です。
こういう場合だとそれぞれの資産の時価の比で按分して売却収入を分けることになります。
ここでいう時価についてはいろいろな考え方があると思いますが、特にこだわりがなければ固定資産税評価額の比で按分するのが無難な対応になります。
そして売却収入がなんやかんや決まれば、次は取得費の計算になります。
取得費は本来按分計算云々は関係がありません。
ただ、概算取得費で取得費を計算する際には按分計算をした売却収入に基づいて計算をします。
取得費の計算が終われば、最後に譲渡費用の計算が必要です。
ここでは按分計算が出てきます。
つまり明らかに直接それぞれの資産の売却に紐づく費用を除けば、譲渡費用も売却収入の比で按分計算をすることになります。
こうして計算した所得をもとに、特別控除を適用したり、それぞれの所得区分に応じた税率を乗じたりして所得税の計算をしていくことになります。
まとめ
今回は土地と建物を同時に売却してその売却収入の所得区分が異なるときの譲渡所得の計算方法についてまとめてみました。
こういうケースだと売却収入や譲渡費用の按分計算が必要になりますので注意しましょう。
まあ、記事を書いていて思いましたが、そもそも所得区分に関わらず、売却する資産ごとに所得計算をするという考え方が基本であり、常時按分計算をすべきかも分かりませんね。
概算取得費や取得費加算、あとは消費税の申告に関わってくるようなケース、あとは何があるでしょうか。
こういったケースじゃなければ按分計算をしなくても問題ないことがあるのも事実ですが。
なので、特段特別なことじゃないよなとか、思ったりしてしまいました。。
■編集後記
昨日は妻が子育て支援センターに息子を連れて行きました。
そこで、保育士の方に第一希望の保育園に当選したことを報告したら、それは豪運だったねと言われたそうです。どうも第一希望が通った家族は数組しかいないとかどうとかで例年通り今年も波乱があったらしいです。
改めて本当によかったです。
■一日一新
チョコバッキー カジゴン