会社を経営している方で、法人税について調べていると損金経理という言葉を目にすることがあると思います。謎の言葉ですよね。今回は損金経理についてざっくり解説したいと思います。
損金経理とは
損金経理とは、法人税法では次のように規定されています。
法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。
法人税法第2条 定義 25号
これは簡単に言えば会計上、経費として計上するという意味合いです。もっと言えば、確定申告をする際に決算書を作成すると思いますが、決算書の損益計算書に経費として計上されていることを指すと言ってもいいかもしれません。
損金経理というと、ずいぶんとっつきにくい印象を受けますが、実質は会計上経費に計上するという意味になるので、そこまで難しくない言葉です。
では損金経理は法人税法のどういった場面に出てくるかというと、いわゆる損金経理要件のある規定で出てきます。損金経理要件とは、法人税法の所得計算上経費にするには、まず会計上経費に計上する必要があるというものです。
損金経理要件のある規定の代表例としては、減価償却費とか決算賞与の未払計上の規定とかがパッと思いつきますね。
基本的な損金経理要件のある条文の作りは、~について損金経理をした場合は、その損金経理をした金額を、(~の金額を限度として、)その事業年度の損金の額に参入するというものです。
ここで、損金の額に参入するという、損金経理と似たような言葉が出てきましたね。この言葉は法人税の所得計算で経費に計上するという意味合いですので、損金経理とはまた別次元の言葉です。
ここらへんが、謎を深める一因だと思うので、もう少し深堀りしてみましょう。
法人税の計算構造
損金経理を理解するには、法人税の計算構造を理解することが必要です。
法人税の計算構造って、所得税とはまったく別物なんですよね。
つまり、会計上の損益(当期純損益)をベースに、法人税法上の調整を加えて所得を計算し税率を乗じて計算するのです。
所得税は会計上の利益(実際は所得税法に則って計算)に税率を乗じるイメージですが、法人税では利益計算を二度行って、税率を乗じる所得を計算することになります。
法人税の申告書のうち別表4という書類を見てもらうとわかりますが、まずは決算書の損益をスタートに、加算調整と減算調整があって、さらに諸々の調整が加えられ所得が計算される流れになっていると思います。
この、二段階の利益計算をしているところが法人税の計算の大きなポイントです。
そして、損金経理の話は、一段回目の計算、つまり会計上の利益の計算の話になります。また損金の額に参入するというのは二段階目の計算、つまり法人税の所得計算の話になるのです。
ちなみに、どうして損金経理要件なんてあるんだろうと思う方もいらっしゃると思いますが、この理由は、法人税法の所得計算上経費にしたいなら会計の利益計算の段階から経費に計上して意思表示してねといった理由があります。
また損金経理要件がないと、申告後に後出しジャンケンで更生の請求とかができてしまうといったことが起こり得るので、そういったことを防ぐための一つの手段として損金経理要件があります。
まとめ
今回は法人税法で出てくる損金経理についてまとめてみました。とっつきにくい言葉ですが、意味は会計上経費に計上するということなのでそこまで難しくはないと思います。
損金経理要件のある規定については、損金経理をしないと法人税法の所得計算上も経費にできないことになります。
一般的な中小企業でしたらほとんど税会一致(会計上の損益と税務上の損益が一致すること)になりますので、特に意識しなくても損金経理要件はクリアするかと思いますが、それでもたまに事故が起きることもありますので注意しましょう。
■編集後記
昨日のランチはパンチョでテイクアウトをしました。
ナポリタンと白ナポをそれぞれメガサイズで注文しました。
1食では食べきれずに夕食にも回しました。
量も多いですが、味が濃いですね。ナポリタンもずいぶんにんにくの味がしたような気がします。
最初は美味しいのですがだんだんと飽きてしまうといった感じでした。
■一日一新
スパゲッティーのパンチョ