円安が続く中、外貨での投資や取引を行っている方も増えているように感じます。
そのような場面で、意外と見落とされがちなのが「為替差損益」の取り扱いです。
為替差損益というと、「外貨を円に戻したときに発生するもの」というイメージを持たれがちですが、実際にはもう少し広い場面で認識が必要になります。
今回は、為替差損益の基本的な考え方を確認したうえで、特に分かりにくい取引例をザックリ紹介してみたいと思います。
為替差損益の基本的な考え方
為替差損益は、外貨建取引が行われた場合に認識が必要になります。
取引が円ではなく、ドルやユーロなどの外貨で行われる場合がこれに当たります。
所得税の計算上、為替差損益の所得区分は、原則として雑所得です。
雑所得は他の所得と合算して課税され、税率は累進課税が適用されます。
つまり、取引金額が大きく為替差益が多額になる場合には、想像以上に税負担が大きくなることもあります。
分かりやすい例としては、
1ドル=100円のときにドルを購入し、
1ドル=150円になったタイミングで円に戻すようなケースです。
この場合、1ドルあたり50円の為替差益が発生します。
最近は円安が続いているため、このような形で為替差益が出ている方も多いと思います。
見落としがちな為替差損益が発生するケース
外貨で外貨建ての資産を購入した場合
為替差損益は、外貨を円に戻したときだけでなく、
外貨で何かを購入したときにも認識が必要になることがあります。
たとえば、
1ドル=110円のときにドルを購入し、そのドルで米国株を購入したとします(購入時は1ドル=150円)。
この場合、ドル建ての資産であることに変わりがないので為替は関係なさそうに見えますが、税務上は外貨建取引に該当します。
そのため、ドル購入時と米国株購入時の為替を比較して、1ドルあたり40円の為替差益を認識することになります。
また、ドルをユーロ等の別の外貨に交換する場合も同様に考えます。
1ドル=100円のときに取得したドルを、
1ドル=150円のときにユーロに交換した場合、
1ドルあたり50円の為替差益が発生します。
外貨建て資産を売却し、そのお金で別の外貨建て資産を購入した場合
外貨建て資産を売却したあと、
その売却代金を円に戻さず、そのお金で別の外貨建て資産に投資するケースもあります。
たとえば、
1ドル=120円のときに購入した米国株を、
1ドル=150円のときに売却し、後日(このときは1ドル=140円)そのお金で米国ETFを購入した場合です。
この場合、
米国株を売却した時の為替差益は譲渡所得を構成しますので、別途為替差益を雑所得で申告ということは必要ありません。
一方で、米国ETFを購入したときに為替差損益を認識する必要があり、このケースだと1ドルあたり10円の為替差損を認識します。
外貨建て資産から受け取った配当や利子を再投資した場合
外貨建て資産から配当や利子を受け取った場合も注意が必要です。
たとえば、
1ドル=120円のときに米国ETFからドル建てで配当(分配金)を受け取り、そのドルで同じETFを買い増したとします。買い増し時のレートは1ドル150円とします。
この場合、その買い増し時に1ドルあたり30円の為替差益の認識が必要になります。
配当を何度も受け取ったあとに、まとめて時機を見て再投資といったことをしていると、この為替差損益の計算は少し厄介になりがちです。
外貨建ての借入金を返済した場合
最後に為替差損益は、投資だけでなく借入にも関係します。
たとえば、
1ドル=140円のときに米国の銀行で借り入れ、
1ドル=150円のときにその借入金を返済した場合、
1ドルあたり10円の為替差損が発生します。
負債の返済なので、円安に進むと為替差損を認識することになります。
まとめ
為替差損益は、外貨を円に戻したときだけでなく、
外貨建取引が行われたさまざまな場面で認識が必要になります。
特に、
・外貨でそのまま投資を続けている場合
・売却資金を次の外貨投資に回している場合
・配当や利子を再投資している場合
こうしたケースでは、為替差損益が見落とされやすい点に注意が必要です。
また、為替差損益は原則として雑所得となり、累進課税の対象になります。
外貨建取引を行っている方は、どのタイミングで為替差損益を認識すべきか、
一度整理しておくと安心だと思います。
■編集後記
今日はウェル活をしたあと、事務所に寄ったり、マルイで買い物をしたりしました。
マルイ周辺にはクリスマスケーキやケンタッキーの袋を持った人が多く、すっかりクリスマスムードでした。
その後は息子と一緒に近所のスーパーへ。
すると、すでに正月商品が並んでいて、思わず「気が早いな」と感じました。
■一日一新
息子のクリスマスプレゼント用に靴下購入
こうこう りんご
