相続税の申告は遺産分割協議が整わなくても、相続から10ヵ月以内に行う必要があります。
これは、相続財産の一部についてだけ話し合いがまとまらないようなケースでも同様です。
積上計算か穴埋計算で申告
相続財産のうち一部の財産について遺産分割協議がまとまらないことがあります。
たとえば、相続財産が不動産、父(被相続人)が経営していた会社の株、預金だったとして、会社の株は後継者である長男が相続し、預金は次男が相続して、余った不動産を誰が相続するか決まらない、そのようなケースが想定されます。
このような、一部の相続財産の分割が決まらないケースでも冒頭に書いた通り相続税の申告は必要です。
そして、相続税の申告では未分割の財産については法定相続分で相続したものとして計算することになっていますが、選択できる計算方法が実は2つあります。
積上計算と穴埋計算というものです。
次に、それぞれの計算方法について具体例を踏まえて確認します。
具体的な計算方法
では、具体的に積上計算と穴埋計算を具体例を踏まえて確認しましょう。
前提として、相続人は長男と次男とします。
相続財産は先述した財産ということにして、価額が不動産が1億、株が6,000万、預金が4,000万で総額2億としましょう。
まず積上計算ですが、積上計算は未分割の財産を相続分で按分して振り分ける計算方法のことです。
つまり、未分割である不動産の価額1億を相続分(2分の1)で按分して、5,000万ずつ長男と次男それぞれに分けます。
そうすると、長男が相続する財産が1億1,000万(6,000万+5,000万)で、次男のそれが9,000万(4,000万+5,000万)ということで相続税の申告をすることになります。
一方で穴埋計算では、全財産の価額に相続分を乗じて、その価額まで各人が相続するように未分割財産を分けるような計算をします。
今回の例なら、相続財産の総額は2億なので、各人が相続する財産の価額は1億(2億の2分の1)となります。
そうすると、長男は6,000万の株を相続しますので、不動産は4,000万相続するようにします。
そして次男は不動産を残りの6,000万相続すれば、長男と次男の相続する価額が1億で同額となります。
こんな感じで、一部の相続財産だけ分割ができていない場合には2パターンの計算方法のどちらかを選択して申告をしていくことになります。
一般的には穴埋計算を採用する
一般的には穴埋計算を採用して申告をすることが多いようです。
穴埋計算の方が相続人間で公平が保たれますので、同様に相続税の負担も公平になる向きがあるためかなと思います。
一応、相続税法の考え方的には積上計算の方が妥当なんだと思いますが。
なお、分割が整わなくても相続税の申告をしなくてはいけないわけですが、それはあくまで仮の申告というイメージになります。
いろいろ注意点があるにはありますが、分割が確定したら税金を取り戻したりもできますので、なんにせよなるべく早く話し合いに決着を着けて必要な申告をするようにしましょう。
■編集後記
ライオンズが強いです。
今日勝って単独2位です。
昨日の試合は去年よく見た負け方で、相変わらず今年もダメかと思ったりしましたが。
勝つとやっぱり今年はいけるぞという気持ちになりますね。
■一日一新
いもくり佐太郎