個人事業主が家族へお給料を払う場合、様々な制限があります。今回は個人事業主が家族へ払うお給料の取り扱いについてまとめてみたいと思います。
家族へ払うお給料は基本的に経費にできない
個人事業主が一緒に働いている家族へお給料を払う場合、基本的にそのお給料は事業所得の計算上経費にできません。
これは、所得税には同一生計親族へのお給料やその他の払いは経費にできないという決まりがあるためです。どうしてこのような決まりがあるかというと、同一生計ということは実質的にその家族のお財布は同じなので、お給料等を払ったところで、そのお財布の中での動きでしかないと考えるためです。
実質的にはお金が動いていないのに、お給料等の経費計上を認めていては、個人事業主は所得の分散を容易にできてしまいます。そのため基本的に家族へのお給料等の払いは経費にできないことになっています。
一方で、家族が専従者に該当して届出をすれば払ったお給料を経費に計上できます。青色事業専従者給与というやつですね。また個人事業主が青色申告をしていなくても控除額が一定額の事業専従者控除なるものあります。
なお、あくまでこれらの話は同一生計親族に該当する家族にお給料を払う際の話になります。同一生計ではない家族へお給料を払う分には他の通常の従業員と同じように特に制限なくお給料を払って経費に計上ができます。
家族へ退職金を払う場合の取り扱い
ここまで家族へお給料を払う場合の原則的な取り扱いについて確認しました。次に家族へ退職金を払う場合の取り扱いについて確認します。退職金についてはさらに制限が加わることになります。
というのも実は青色事業専従者に退職金を払っても経費に計上できないのです。これは「退職金を払う頃には専従者ではないでしょ」とか、「届出にはお給料と賞与の金額しか記載しないでしょ」といった理由で説明される印象がありますがイマイチ腑に落ちない取り扱いですね。ただ、どうも専従者に払う退職金は経費に計上できないことになっています。
一応、専従者については小規模企業共済に加入するとか中退共で退職金を用意するとかといった手立てがありますので退職金はそちらで用意することになるかと。
どうしても退職金を払いたいなら法人成りをして払うという選択肢もあります。この場合も青色事業専従者については、退職金の計算上、個人事業時代の勤務期間は勤続期間に通算できないという決まりがあります。※別に会社が退職金を払うこと自体はできますが、法人税法上経費にできる金額に制限があるということです
なお、生計が別の家族へ退職金を払う場合はお給料や賞与と同様に通常の従業員と同様に特に制限なく経費に計上できます。まああまりに常識外れの金額だと贈与税の話がでてくる可能性はあるかもしれませんが。
まとめ
今回は家族へお給料を払う場合の所得税の取り扱いについて確認しました。まとめると次のようになります。
給料 | 賞与 | 退職金 | |
同一生計の家族(原則) | 経費にならない | 経費にならない | 経費にならない |
青色事業専従者 | 経費になる | 経費になる | 経費にならない |
生計別の家族 | 経費になる | 経費になる | 経費になる |
個人的にはこの同一生計親族への支払いの制限の取り扱いって今時どうなんだろうと思います。特に給料関係になりますが。
子供が青色事業専従者だったとして、そのうち結婚して実家とは別に家庭を持ち、しかも夫婦共働きだと生計別と判断すべきかどうか。まさに以前のわたしがそんな感じでしたが、まあのちに生計別になると判断して青色事業専従者ではないことにしました。ただわたし単独で見ると同一生計といえば同一生計のような気もしましたので、イマイチ腑に落ちないんですよね。どちらも一理あるという感じで。
こういう場合はたぶん自分たちの好きなほうを選択すればいいのかなと思います。結局制度の趣旨は行き過ぎた所得分散によって税負担を免れることを防止することだと思うので、仕事に見合ったお給料を払う分にはどちらにせよ特に問題にならないのかなと考えたり。あと医療費控除とかの辻褄合わせも重要かと。
でも、制度ができた当時に比べれば核家族化が進んでこの制度も役目を終えているような印象があります。
法人税と同様に家族へのお給料は不相当に高額なら経費にできないとして制限をかければシンプルな取り扱いになっていいのではと思うところです。
■編集後記
昨日はピックルスの優待品が届きました。
ぬか漬けが簡単にできる商品が入っていました。
適当な野菜に馴染ませてラップ等で包むだけでぬか漬けができてしまう商品です。
ぬか漬けはちょっと興味があったのでちょうどいい機会でした。
早速半日くらい漬けて食べましたが、いい感じに酸味が効いていて美味しかったです。
■一日一新
OH!!!かんたん糠床