市役所等での税務相談の担当になって相談者に対応していると、「実は不動産の名義をタダで子供に移したんだけど…」といった相談が一定数あります。
わりと、このようなことはやりがちなことなんだと思います。
そこで、今回は無償で不動産の名義変更をしたら贈与に該当するのかについて、その名義変更後の対応も含めてまとめてみようと思います。
不動産の名義を無償で変更すると贈与として扱われる
不動産の名義を無償で変更すると、原則はその新しい名義人が元の名義人からその不動産の贈与を受けたものとして扱われます。
そして、贈与として扱われるということは新しい名義人に対して贈与税が課税されることになります。
一般にこの手の取引は親族間で行われると思いますが、この取引について贈与が成立しているかどうかは事実関係が不明瞭で判断が難しいことがほとんどです。
それでも、贈与税の課税漏れを防ぐ観点から無償で不動産の名義変更があると贈与として扱うことになっています。
贈与税や相続税の世界では、その贈与がきちんと贈与として成立しているかということが論点になることが多々ありますが、ここでは贈与の成立云々を抜きにして名義変更の事実をもって贈与として扱うことになります。
なので、結構軽い気持ちで名義変更をしてしまうことがあるようですが注意したいところです。
一方で、この贈与税課税を回避できる可能性もあります。
次にどのような場合に無償で不動産の名義変更がされたとしても贈与税の課税がされないか見ていきましょう。
贈与税の課税がされない場合
無償で不動産の名義変更がされた場合でも、贈与税の課税がされない場合があります。
それは、その名義変更の手続きが贈与として扱われることを知らずにされていて、贈与税の申告や税務署からの指摘の前にその名義を元に戻した場合です。
このような場合は法的実体は贈与ではないと考えて贈与税の課税がされないことになっています。
一応、厳密にはこれよりもう少し厳しい要件でも贈与税の課税がされないことが明示されていますが、一般的には上述した取り扱いから贈与をなかったものとすることになるのかなと思います。
なお、仮にずっと名義を元に戻すことをせず、税務署から指摘等を受けて初めて贈与税の課税があることを知った場合には、その指摘に対して異議申し立てをして、その後速やかに名義を元に戻すと贈与がなかったものとして扱ってもらえることもあります。
一般的に贈与税の課税があるなら、不動産の名義変更なんてしないよということがほとんどだと思いますが、もし誤って名義変更をしてしまったら、早めに名義を元に戻すことを検討しましょう。
また、税務署から指摘等を受けたあとでも贈与税の課税を回避できる可能性がありますので落ち着いて対応しましょう。
まとめ
今回は無償で不動産の名義変更をしたら贈与に該当するのかについてまとめてみました。
安易に不動産の名義を無償で移すと思わぬ贈与税の課税があるので注意しましょう。
また、仮に名義変更をしてしまっても一応は贈与税の課税が回避できる可能性はあります。
でも贈与税の課税が回避できたとしても余計な登記費用がかかったり、何かと気苦労が重なると思いますので、やっぱりそもそもこのようなことがないようにするのが一番ですね。
■編集後記
最近Audibleで聴いているレーエンデ国物語ですが面白いですね。
あっという間に3巻まで聴き終えました。
4巻はまだAudibleで配信されていませんが、来年の1月末に配信開始のようなのでその日が楽しみです。
今のところ1巻が一番よかった気がします。
トリスタンがイケメンで惚れちゃいますね。
■一日一新
レーエンデ国物語 喝采か沈黙か Audible