今回は相続時精算課税の贈与をしたあとに、贈与を受けた子供が、贈与をした親より先に亡くなったときの取り扱いについてまとめてみます。
この場合、相続時精算課税の贈与をしなければよかったということがあります。
子供の相続人が相続時精算課税の精算をする義務を引き継ぐ
相続時精算課税の制度は、贈与者の相続があったときにその贈与した財産を相続財産としてカウントし精算しますよという制度です。
なので、基本的には親が子供に贈与をして、その後親の相続が発生して精算をすることを想定しています。
一方で親より先に子供が亡くなってしまうことがあります。
この場合、まず、子供の相続では子供の相続人(子供の配偶者や孫)に対して相続税が課税されます。
このとき子供の相続財産には、生前に親から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた財産も含まれます。
贈与を受けた財産は子供の財産になるので当たり前と言えば当たり前の話です。
ここで、注意が必要なのが、相続時精算課税制度で贈与を受けた財産を親の相続のときに精算する権利義務を子供の相続人が引き継ぐ必要がある点です。
つまり、その後に親の相続が発生すれば、子供の相続人は相続時精算課税の贈与を受けたわけではありませんが、親の相続の相続税の計算の際に相続時精算課税の贈与を受けたように計算をする必要が出てくるのです。
贈与をしなければよかったというリスク
相続時精算課税の贈与をした場合で、贈与を受けた子供が先に亡くなった場合、子供の相続のときにその贈与財産は相続財産として相続税の課税がされます。
また、その後親の相続が発生すると、子供の相続人は子供が持っていた相続時精算課税の精算の権利義務を引き継ぎますので相続税が課税されます。
まあ、親→子供→子供の相続人という流れで財産が動いていますので2度課税があるのは仕方がないといえば仕方がないです。
でも仮に贈与をしなければ、子供の相続のときには課税がなく、親の相続のときに孫が代襲相続をすることで課税が済んでしまうことになります。
つまり一度の課税で済むわけです。
贈与をする財産が現金等で、子供の相続のタイミングにはすでに消費していれば、結果的に子供の相続での課税がなくなり親の相続のときの課税だけで済むことになりますが、贈与財産が消費されず残っているとなると余計な課税となってしまうことがあります。
相続時精算課税の贈与をする際には、受贈者側が先に亡くなったときに贈与をしなければよかったとなるリスクがありますので注意しましょう。
まとめ
相続時精算課税の贈与は、受贈者側が先に亡くなってしまうと、贈与をしなければよかったとなるリスクがあります。
人の亡くなるタイミングは操作できるものでもないので、このことがあるから相続時精算課税の贈与はしないということにはならないと思いますが、一応このようなリスクがあるという点は頭に入れておいてもいいかなと思います。
■編集後記
昨日は鰻の成瀬で食事をしました。
提供時間がとにかく早いのが印象的でした。
鰻を食べたのに1時間くらいで帰宅できたので衝撃でした。
■一日一新
鰻の成瀬