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家賃収入があるときの相続税の取り扱い

相続

今回は家賃収入がある方が亡くなったときの、その家賃収入の相続税の取り扱いについてまとめてみようと思います。

未収家賃の相続税の取り扱い

通常、家賃は前受で貰っていることが多いと思いますので、滞納している入居者がいなければ未収家賃というものはないことがほとんどかなと思います。


なので、実務ではそこまで未収家賃を相続財産として計上すること自体は多くないように思います。


ただ、滞納が続いている入居者がいる場合は注意が必要で、そういう入居者がいればいつから滞納していてどれだけの未収家賃が発生しているかきちんと整理して申告が必要になります。


なお、当月分当月受取りの契約のとき、相続があった月の1日から相続日までの期間については、すでに賃貸を実施していて、かつ相続日では未収ということで、未収家賃としてカウントする必要があるかもと疑問が湧くこともあるようです。


たとえば5月分の家賃を5月末に受け取り、6月20日に相続が発生し、その後6月末に6月分の家賃を受け取ったようなケースです。


この場合、6月分の家賃のうち、6月1日~6月20日までの期間に対応する家賃を按分計算して未収家賃として相続財産としてカウントしたくなりますが、これはカウントする必要がありません。


これは、未収家賃としてカウントする家賃は、支払期日が到来したものだけでいいことになっているためです。


このケースだと6月分の家賃は6月末が支払期日なので、6月20日に相続が発生したら6月分の家賃はまだ支払期日が到来していないということで相続財産としてカウントしなくていいわけです。

前受家賃の相続税の取り扱い

次に前受家賃の相続税の取り扱いについて確認しましょう。


結論は債務控除として引くことはできません。


というのも、相続時点で前受家賃が発生していることはよくよく考えると多いものです。


やっぱり前家賃契約(翌月分を当月末に受け取り)が多いからです。


前家賃契約だと相続があった日が仮に6月20日だったとすると、6月分の家賃は5月末に受け取っていることになります。


そうすると、その5月末に受け取った6月分の家賃のうち、6月21日~6月30日までの期間に対応する金額は前受家賃の性格があるわけです。


そしてこの前受家賃、よくよく考えると相続税の計算で債務控除できるのはないかと疑問が湧いてきます。


この点、相続税の計算で債務控除できる債務は、「確実に認められる債務」に限定されています。


そこでこの前受家賃ですが、入居者に返還する義務もないはずなので、確実な債務には該当しないと考えます。


よって、債務控除はできません。


敷金や保証金は契約で償却する金額を除けば返還することが決められていますので、債務控除できるのと比べてみるとなんとなく整理できるのかなと思います。

まとめ

今回は家賃収入があるときの相続税の取り扱いということで、未収運賃と前受家賃の相続税の取り扱いをまとめてみました。


滞納が続いている入居者がいる場合はやっぱり注意が必要です。


この場合は、支払期日が到来している家賃で滞納している金額を整理して未収家賃として相続財産の計上が必要です。


一方でその他のケースだと、一見相続財産や債務控除としてカウントしたくなくなる家賃であっても、それらはスルーで問題ないことがほとんどのはずです。


■編集後記
今日は6月決算の申告書を作りました。
その会社はたまたま赤字でしたが、初めて賃上げ促進税制の繰越控除の適用がある申告でした。
この繰越控除については何度かブログで書いているので、見落とすことはありませんでした。
でも意識していないと赤字の申告書はホイホイと作成してしまうのでやっぱり怖いなと思いました。

■一日一新
丸かじりチキボン