消費税の計算方法として選択できる「簡易課税制度」は、原則として適用を受けたい年の前日までに事前の届出が必要です。
そのため、「今年から簡易課税にしたい」と思っても、通常はすぐに切り替えることができません。
ただし、相続によって事業承継があった場合には、この原則とは異なる取り扱いが用意されています。
今回は、相続が絡んだ場合の簡易課税の考え方について整理してみます。
相続年に届出を出せばその年から適用ができる
相続により事業を承継した場合、相続年中に簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その相続年から簡易課税を適用することが可能です。
具体的には次ようなケースに該当すればこの特例が適用できます。
- 相続をきっかけに初めて事業を始めた場合
- 相続人自身は何らかの事業をしていたものの、それまでは免税事業者で、
簡易課税を選択していた被相続人から売上1,000万円超の事業を承継した場合
このようなケースでは、通常の届出ルールで事前の届出を求めるのは酷なので柔軟に対応されることになっているわけです。
なお、相続日が12月中の場合、年内に届出を出すのは現実的に厳しいこともあります。
この場合は、翌年2月末までに届出を行えば、相続年から簡易課税を適用可能とされています。
一方で、相続人がもともと課税事業者で、かつ簡易課税を選択していなかった場合等、上記のケースに該当しないときには特例はないので注意が必要です。
※他にインボイス絡みの簡易課税の届出の特例もあって、それが絡んでくることも想定できますがここでは省略します
簡易課税の適用の判断
簡易課税制度を適用するためには、基準期間(2年前)の売上が5,000万円以下であることが必要です。
そこで、相続があった場合、この判定をどう考えるかという点も重要です。
結論を書くと、
被相続人から承継した事業の売上は、この5,000万円判定には含めません。
つまり、
あくまで相続人本人の2年前の売上が5,000万円以下かどうかで、簡易課税の適用を判断します。
この点は、消費税の納税義務判定とは考え方が異なります。
納税義務判定では、
- 相続年:相続人と被相続人それぞれの売上で判定
- 翌年以降:相続人と被相続人の売上を合算して判定
という取り扱いになりますが、
簡易課税の適用判定では、相続人本人の売上のみを見るという点がポイントです。
まとめ
相続で事業承継があった場合、相続年中に届出を出せば、その年から簡易課税を適用できるケースがあります。
また、簡易課税の適用判定では、被相続人の売上は加味しない点もポイントとなります。
相続が絡むと、消費税はどうしても複雑になります。
今はインボイスの話もありますし。
相続で事業承継がある場合は、できれば、相続が起こる前からどのような届出が必要かシミュレーションしておくのが好ましいですね。
■編集後記
今日は妻が会社の忘年会だったため、保育園のお迎えから寝かしつけまでワンオペでした。
歯磨きまでは順調だったのですが、その後、何かが気に障ったようで、そこからはなかなか大変でした。
とりあえず無理に構わず、しばらく放置して様子を見ることに。
落ち着いてきたところで抱っこをし、あとは寝てくれるまでひたすら待つ作戦を取りました。
妻が帰ってくるまで寝てくれなかったらどうしようかと思っていましたが、意外とうまくいき、予定より30〜40分遅れくらいで無事に寝かしつけ完了しました。
■一日一新
東北出張所でマイナンバーの手続き
しょっつる
