配偶者居住権とは、平成30年の民法改正で創設された制度で、相続後の配偶者の生活を守るために、配偶者の居住権を認める制度のことです。
この制度を利用すると相続税の計算では、建物を配偶者居住権と建物所有権に分けて、土地は敷地利用権と敷地所有権に分けることになります。
このうち配偶者は配偶者居住権と敷地利用権を取得することになり、別の相続人が建物所有権と敷地所有権を取得することになるわけですが、その後配偶者に相続が発生した場合は、配偶者が取得した配偶者所有権と敷地利用権は相続税の課税対象になりません。
したがって、配偶者居住権の設定は節税方法の一つとして紹介されることがあります。また、一時相続で所有者を決定できますので二次相続で紛争が起こる可能性を減らせるというメリットもあると言われています。
ではこの配偶者居住権について小規模宅地等の特例を適用できるのでしょうか。今回は配偶者居住権を設定した場合、小規模宅地等の特例を適用できるのかについてまとめてみようと思います。
配偶者居住権を設定しても小規模宅地等の特例を適用できる
早速、結論ですが配偶者居住権を設定したとしても小規模宅地等の特例は適用できます。注意点として、小規模宅地等の特例はあくまで土地に対する特例です。そのため、建物部分の配偶者居住権については適用がなく、土地部分の施設利用権に対して適用ができます。
また、配偶者に関しては居住用宅地等について小規模宅地等の特例を適用する場合は基本的に取得するだけで適用ができ他の細かい要件はありません。
一方で、他の相続人が取得する土地部分の施設所有権についても小規模宅地等の特例を適用できます。ただ、こちらは適用できるケースが限定されています。次にどのような場合に施設所有権に関して小規模宅地等の特例を適用できるか見ていきます。
施設所有権に関して小規模宅地等の特例を適用できるのか
施設所有権を取得する人は配偶者以外の相続人ですが、この施設所有権に対して小規模宅地等の特例を適用できるケースは、その相続人が被相続人や配偶者と相続以前から同居している場合です。
その同居している相続人が施設所有権を取得し、相続税の申告期限までそのまま住み続けてかつ施設所有権を所有し続ければ小規模宅地等の特例を適用できます。
一方で、同居していない相続人が施設所有権を取得する場合は基本的に施設所有権に対して小規模宅地等の特例を適用できないということになります。
まとめ
今回は配偶者居住権を設定した場合、小規模宅地等の特例を適用できるのかについてまとめてみました。配偶者居住権を設定すると土地を施設利用権と施設所有権に分けることになりますが、そのどちらにも小規模宅地等の特例を適用できる余地があります。
特に、配偶者が取得する施設利用権については小規模宅地等の特例を適用できるケースが多いかと。
なお配偶者居住権を設定に関しては、小規模宅地等の特例も加味すると必ずしも節税になるとも限らない点は注意が必要です。
施設所有権に関して小規模宅地等の特例を適用できないとなると、他のパターンでの試算もした方が無難です。まあ、節税目的で配偶者居住権を設定することにわたしは正直疑問があるのですが。
なお、今回は夫婦が同居しているケースを前提にしていますが、どうも夫婦が別居していて、配偶者が被相続人の所有している建物に住んでいた場合だともう少し話がややこしくなるようです。
その場合は同一生計かどうかが、施設利用権にしても施設所有権にしても小規模宅地等の特例の適用可否の判断でポイントになります。
正直、そんなことあるのかなと思いましたが、夫婦仲が悪くて、妻側が夫が所有している自宅に住み続けて、夫が自宅を出て賃貸暮らしなんてパターンとかをたまに聞きますので、意外と出くわすかもわかりませんね。
■編集後記
昨日はiPhoneをios18にアップデートするとライブ留守番電話というものが利用できるということで早速試してみました。
わたしは楽天モバイルを使っているのですが、どうも楽天Linkからの電話だと留守電をとれないようですが、普通の固定電話や、iPhoneの電話アプリから電話をもらう分には留守電がとれるようでした。
留守電をとる機会はたぶん税務署からの電話くらいなのでこれで十分ですね。
先日楽天モバイルの留守電サービスが有料化してしまい課金するか迷っていましたが、ちょうどいいタイミングで他の手立てが見つかりよかったです。
■一日一新
ライブ留守番電話