今回は相続した上場株式を売却して、相続税の取得費加算の特例を適用するときの注意点についてまとめてみようと思います。
※相続した上場株式は一度相続した人の特定口座に移してから売却したことを想定しています
上場株式の売却でも取得費加算の特例は適用できる
相続した上場株式を売却した場合、相続税の取得費加算の特例は適用できます。
取得費加算の特例というと相続した不動産を売却した時に適用をするイメージがありますが、実はあくまで譲渡所得という枠組みでの特例です。
したがって、株式でも通常の譲渡所得として課税される分に取得費加算の特例は適用が可能です。
一方、そうそうないと思いますが、株式の売却でも事業所得や雑所得して申告するとなると特例は適用ができないということになります。
特定口座の申告をしないと事故が起きることもあるので注意しよう
相続税の取得費加算の特例は、その名の通り相続税ありきの特例です。
そのため、相続税の申告をしてからでないと譲渡所得の計算で適用ができないという性格があります。
そこで問題なのが相続後年内に上場株式を売却して、その年の所得税の確定申告期限までに相続税の申告が済んでいないケースです。
この場合、一応当初の申告では特例を適用しないで確定申告をしたとしても、相続税が確定した後2ヵ月以内に特例を適用する形で更正の請求という手続きをすれば適用が可能です。
ここで注意点があるのですが、特定口座の申告の取り扱いについてです。
特定口座は申告不要という、申告をしないで所得計算にその特定口座の所得を一切反映させない処理が選択できます。
これを当初の申告で選択してしまうと事故が起きてしまうのです。
当初の申告で特定口座について申告不要を選択して確定申告をしてしまうと、あとから相続税が確定し更正の請求をしようと考えても、その特定口座の所得自体を改めて申告し直すことができないのです。
この論点はよく、特定口座内の譲渡損失を申告し忘れていたケースとかで問題になりますが、今回のようなケースでも問題になることがあります。
取得費加算の適用がなければ申告しても意味ないし、とりあえず特定口座の申告はスルーしてあとから更正の請求を適用しよう、そんな対応では取得費加算の特例が適用できないので注意しましょう。
まとめ
今回は相続した上場株式を売却して取得費加算の特例を適用するときの注意点ということで、当初の申告では相続税が確定していないケースについて取り上げてみました。
特定口座の申告不要制度の性格上、一度申告不要を選択すると、その後その特定口座の所得の申告は一切できないので、結果的に取得費加算の特例も適用ができないことになります。
こういうことがありますので、売り時を逃すリスクを除けば相続年には売却をしないという対応も一案かも知れませんね。
■編集後記
最近はだいぶ花粉が飛んでいるように感じます。
愛犬との散歩から帰ってくると、愛犬の体にもだいぶ花粉がまとわりついているな感じるものです。
花粉症というとわたしも、高校から大学の頃はひどかったです。
大学が山の中にあったので、それで鍛えられたせいか、就職して板橋に引っ越しをした以降はそこまで花粉症の症状はでなくなりました。
■一日一新
魔入りました!入間くん 漫画