今回は昨日に引き続き某大臣の発言に合わせて国民全員が確定申告をすることについて、わたしの考えを書いてみようと思います。
国民全員が確定申告をすると納税者意識が上がるのか
わたしは国民全員が確定申告をすること自体は理想論としては賛成ですね。所得税は申告納税制度を採用していますし、国民全員が確定申告をすることはその大原則に沿っていますしね。
某大臣の仰る、確定申告をもっと簡単にできるような環境を整備してその代わりに年末調整を廃止するというのも理屈上はできるのかなと思います。
ただ実際問題、高齢者等々が対応できるかといった話もありますし、そうして適切な税務運営ができるのかという話もあるのでまず難しいかなと思いますが。
ただ某大臣の発言の中にいわゆる納税者意識の話があったと思います。自分で確定申告をすれば自分がどれだけ税金等を負担して、そしてその税金等をどのように活用されているかより関心が高まるといった話のことです。
この点、わたしは確定申告をしたところで納税者意識が高まるとは限らないかなと。それに年末調整があるから国民の納税者意識が育たないんだとか、国はわざとそのように仕向けて税金等を徴収しているといった主張も以前からあると思います。
わたしはこういった理屈はまあたしかにそういう面もあるよねと思う反面、もっと根本的な問題があるから国民の納税者意識が低いと考えています。
国民の納税者意識が低い理由
国民の納税者意識が低いという問題は恐らく事実なんだと思いますが、その理由に年末調整があるからとか確定申告をしていないからと言い切ることはできないかなと思います。
別にサラリーマンでも税金や会計について詳しい人はたくさんいますし、個人事業主だって税金や会計のことになると拒否反応がでてしまう人もいますから。
それにマイナンバーを使って確定申告の内容が自動計算されてポチッと申告ができるのでは、年末調整のときと同様で受動的な申告になってしまい、結局申告内容をろくに確認せずポチッと申告してしまう人もたくさん出てくるような気がします。そうすると結局年末調整をしている場合と同じではとも思います。
そのため、確定申告をすれば納税者意識が高まるという動機付けってどうなんだろうと思います。
たぶん納税者意識が低い問題はそもそもの税金や社会保険の制度が複雑化しすぎてよくわからないことと、学生のうちに税金、会計、社会保険等についてまともに教わる機会がないことが根本的な原因だと思います。
制度の複雑化についてはとりわけ税金がその傾向が強いかなと思います。知識ゼロで年末調整や確定申告の用紙を渡されたら、そりゃ税金について拒否反応がでるよなと思います。
また学生のうちに税金や会計、社会保険に学ぶ機会がないというのも、少なくともわたしが学生の頃はそうでした。
高校まではお決まりの税金は社会の会費のようなもの的な学習はあったと思いますが、確定申告書や源泉徴収票すら見たこともありませんし、社会保険が個人事業主とサラリーマンで違うことなども知りませんでした。
会計は選択科目で簿記を少しかじりましたが、しょせんは仕訳を覚えるだけで、世の中で会計がどのように活かされているか、この数字がどのように税金計算に影響しているかといったことなど知る由もなかったです。
それに、以前租税教室を担当した時も、税理士会が用意してくれる教材だと、いわゆる税金は社会の会費的なものとか、正しいかどうかよくわからないプライマリーバランスのことといった中身でした。
別にオリジナルの教材で授業をしてもいいことになっていますが、そんなことはやってられないので税理士会の教材を使って授業をしましたが、授業をしていてこのことも大事だけど、もっと確定申告とか、年末調整のこと、収支計算のこととかそういったことを伝えた方が、特に税理士の立場で授業をするなら有意義なんじゃないかなとモヤモヤしたのを思い出しますね。
まあちょっとした抵抗で、プライマリーバランスの話は適当に省略して、確定申告書を小学生に見せたこともありますが、それでもいわゆる納税者意識を育むような授業ができたかというとまずできていないかなと思います。
そんな大層なことをたかだか45分の授業で教えること自体難しいとは思いますけど。
あとは、税金の使い道がわかりにくいとか、政治について興味を持つことがちょっと恥ずかしいという雰囲気、政治家の裏金問題とかそういった話も納税者意識の低さに繋がっているように思います。
正直、確定申告をしたところで多少は納税者意識が上がることはあると思いますが、上述したようなことを見直さないと根本的な解決にはならないかなと思いますね。
まとめ
今回は某大臣の国民全員が確定申告をするという発言についてわたしの考えを書いてみました。マイナンバーを上手に活用すれば今までよりもっと簡単に申告ができるような環境が実現できるのは確かだと思いますし、そういう方向で進めていくべきなんだと思います。
ただ、前回書いたように年末調整を廃止して国民全員が確定申告をする必要はないような気がしますし、普段納税者の方と接しているとそれを実施するのは難しいかなと感じています。
また、確定申告をすれば納税者意識が高まるという主張も個人的には引っかかります。もちろん納税者意識が低いことは良くないと思うのですが、確定申告をすれば納税者意識が高まるとも限らないかなと思います。
それよりも根本的な問題にフォーカスしたほうがいいと思います。
■編集後記
昨日は息子のハーフアニバーサリーということでスタジオアリスで写真を撮影しに行きました。
わたしは仕事があるので同席しませんでしたが、撮影時は泣くこともなくモデルを務めあげたそうです。
撮影した写真を見せてもらいましたが、キツネの着ぐるみ、ピカチュウの着ぐるみ、桃太郎の着物と衣装替えをして撮影をしてもらったようです。
いい記念になりました。
■一日一新
つじ半 ぜいたく丼