遺産分割は基本的には相続人が納得する分け方を決めていただければいいと思いますが、一次相続の分け方次第で二次相続も含めたトータルの相続税の負担が変わることがあります。
結構な金額になることもあるので多少は検討したほうがいいと思います。
そもそも一次相続と二次相続とは
まず、そもそもの話ですが一次相続と二次相続とは何かということを書いておきます。
一次相続とは親の相続で先に亡くなったときの相続を指します。
二次相続はその後の相続を指します。
仮に父が先に亡くなりその後に母が亡くなったとすれば父が亡くなったときの相続を一次相続、母が亡くなったときの相続を二次相続と呼びます。
そして、相続税の負担を考える際にはそれぞれの相続税の負担だけに着目するのではなく、一次相続と二次相続のトータルの相続税の負担を検討したほうがいいとされています。
具体的な計算例
では具体的に一次相続の遺産分割の仕方に応じてトータルの相続税の負担が変わることを見ていきます。
今回は次の前提で考えてみます。
■一次相続
被相続人|父
遺産総額|4,800万
相続人|母、長男、長女
基礎控除|4,800万
■二次相続
被相続人|母
遺産総額|4,200万(母固有の財産)+一次相続で相続した財産
相続人|長男、長女
基礎控除|4,200万
この場合、一次相続は遺産総額と相続税の基礎控除額が同額なため、どのような遺産分割方法を採用しても相続税が発生しないことになります。
一般的には母が全ての遺産を相続するケースが多いので、まずはその場合の相続税額の負担を計算してみます。
次に、一次相続で母は遺産を相続せず、長男と長女で均等に分けた場合で計算をしてみます。
※今回のケースだと長男と長女でどのように分けるかは相続税額に影響はありません
このように、一次相続の分け方次第でトータルの相続税の負担が変わることがあります。
今回の計算例は二次相続では一次相続で母が相続した遺産をそのまま維持し続けるという前提に立っていますし、小規模宅地等の特例なども加味していません。また、一次相続では配偶者の税額軽減の制度もあるので本来はもっと複雑な計算が必要です。
それに二次相続が想定通りの結果になるとは限りません。相続がいつ発生するか、財産の増減がどのようになるかといったことは想定通りにいかないものだからです。
ただ、相続税は超過累進税率になっている関係上、一次相続の内に下の世代に遺産を相続させた方が相続税額の計算では有利に働くことがありますのでその点は頭に入れておきましょう。
まとめ
今回は一次相続の遺産分割では二次相続も加味して遺産分割をしようということで、具体的な計算をしてみました。
基本的には一次相続では母が遺産を相続するのが自然であり、わたし自身も正直言うと、親の立場なら二次相続の負担とか意識せずに、「一次相続では配偶者が全ての遺産を相続させる、二次相続は配偶者が遺した財産を子どもたちで勝手に分けてくれ、納税資金や分割で困らないように現金等の比率を高くしておくことくらいは考えておく」くらいのスタンスでもいいかなと考えています。
ただ一方で相続税の負担額が一次相続の遺産分割の仕方に応じて変わってくることも事実です。
一次相続での配偶者が相続する遺産の割合を高くするとしても、今回のような計算結果になり得ることは理解しておくようにしましょう。
■編集後記
昨日は顧問先と打ち合わせでした。
このお客様との打ち合わせはいつも速攻で終わります。
大体いつも10分くらいで下手すると5分で終わります。長くても40分も使わないかなと。
あまりにすぐ終わるのでこれでいいのかなとも思いますが、わたしはこれでいいと思います。
たぶん、お客様も満足されているはずです。
お客様に応じて顧問のあり方もいろいろあるという話です。
■一日一新
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