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貸家が空室のときの相続税の計算への影響

相続

今回は貸家が空室のときの財産評価や小規模宅地等の特例への影響についてまとめてみようと思います。

貸家の財産評価と小規模宅地等の特例の適用について

空室がある場合の話を書く前に、先に原則的な貸家の財産評価と小規模宅地等の特例の適用について確認します。


まず財産評価ですが、貸家の土地については貸家建付地評価といって、自用地価額をだいたい2割減(借地権割合×借家権割合)した価額で評価をすることになります。


また、建物は貸家の評価をするので、自用家屋としての評価額に3割減(借家権割合)をすることになります。


そして貸家ということは、その敷地を貸付事業に利用していることになりますので、他の要件を満たす限りは貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用ができることになります。


では次に、相続時点に貸家が空室のときに財産評価や小規模宅地等の特例はどのような影響が受けるかについて見ていきたいと思います。

空室があるときの財産評価と小規模宅地等の特例への影響

相続時点に貸家に空室がある場合は、財産評価と小規模宅地等の特例への影響は若干異なっています。


まず財産評価ですが、空室があると、その分だけ土地や建物は利用制限がかからないと考えて、上述した減額する割合が減ってしまいその分だけ評価額が高くなります。


具体的な計算は上述した2割減や3割減といった割合に賃貸割合(≒空室ではない部屋数÷全体の部屋数)を乗じることになります。空室が多ければそれだけ賃貸割合が小さくなり結果それを乗じる減額割合が下がる、つまり納税者としては不利な扱いになります。


なお財産評価の際にはかなり厳格に空室について判断をすることになります。


ざっくり言えば相続時点においての空室が一時的なら空室であることを加味する必要はありませんが、空室が一時的でないと認められるなら空室であることを加味しての評価が必要になります。


そしてこの空室が一時的であるかどうかの判断がかなりシビアです。国税の解釈としては、空室期間が相続前後で1ヵ月程度であることなどが明記されています。


相続時点で空室の場合、その後1月以内に新たな賃借人が現れない限りは空室扱いになってしまうわけです。


これってかなり厳しいですよね。一般的なその物件を貸しているという解釈とは結構相違があるような印象を受けます。


実際、過去にもこの空室が一時的かどうかという論点で争われた判例がたくさんありますが、印象としてはやはり納税者にかなり厳しい結果が多いかなと思います。


次に小規模宅地等の特例について貸家が相続時点に空室であることの影響ですが、小規模宅地等の特例においては、貸付事業を継続して営んでいるということが求められるわけで、空室であることで貸付事業をしていないことになってはいけないわけです。


ただこの点は普通に継続して入退去が繰り返されている分にはその貸家の土地を貸付事業に供していると考えて問題ないということになっています。

まとめ

今回は貸家が空室のときの相続税の計算への影響について、財産評価と小規模宅地等の特例に分けてまとめてみました。


財産評価にしろ、小規模宅地等の特例にしろ空室ということで貸付事業が行われていないと判断されれば納税者不利に働きます。


そして財産評価については空室であるかどうかの判断はかなりシビアで、納税者としては継続して貸付をしていたという理解でも空室としての財産評価が必要となることが多いです。


一方で小規模宅地等の特例については、そこで求められる継続して貸付事業が営まれているかどうかの判定は財産評価に比べればだいぶ緩いです。


結果、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例が適用できる一方で貸家建付地や貸家の評価ができない、もしくは制限がかかるなんてこともありますので注意しましょう。


■編集後記
昨日は午前中に家族でイオンに行ってきました。
まずパリミキで夫婦二人のメガネをメンテナンスしてもらい、その後はわたしはしばらくひとりでフードコートの隅を陣取り仕事をして、あとで合流という流れでした。
その後はふじみ野駅で妻と息子と解散してわたしは実家で7月決算の納品の準備などをしました。
無事昨日のうちに郵送と連絡も終え一段落しました。

■一日一新
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