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空室部分に小規模宅地等の特例は適用できるのか

相続

賃貸アパート等の土地については、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用が可能です。


この場合、50%減の評価減となります。


一方で賃貸アパートの空室部分には特例が適用できないときがあるので注意が必要です。

一時的な空室なら特例の適用ができる

賃貸アパートの土地について、小規模宅地等の特例の適用を検討する際に、相続時点で空室があると、その空室部分の土地について特例の適用が可能か検討する必要があります。


このとき、その空室が一時的な空室と認められれば特例の適用が可能となります。


では、この一時的な空室とは具体的にどのような基準で判断するのでしょうか。


この点、実は明確な基準はありません。


一応、後述する貸家建付地評価をする際にも同様の話があって、そこでは具体的な基準が公表されているのですが。


小規模宅地等の特例と貸家建付地の評価では立法趣旨が違うので、まるっきり同じ判断でいいかというとそうではないのかなと思います。


なお、最近の裁決(国税不服審判所 令和5年4月12日裁決)でこの論点について争われた事例があります。


そこでは、相続開始前2ヵ月前や5ヵ月前からの空室についても、一時的な空室と認められず、その空室部分の土地について特例の適用ができなかったようです。


この裁決だと、その部屋の借主の退去後に、被相続人が積極的に新たな入居者の募集をしている実態がなかったため、一時的な空室と認められなかったようです。


たった、数ヵ月空室だったとしても、不動産屋と連絡をとって広告を出してもらうとか、実際に入居希望者の内覧等が実施されていないと、一時的な空室と認められないこともあるわけです。


個人的には一般的な感覚とはちょっとズレるかなと思うので注意が必要かなと思います。

貸家建付地評価との関係

前でも少し触れましたが、この相続時点で空室がある場合、貸家建付地の評価でも、空室部分にはその評価ができないという取り扱いがあります。


一方で、空室でも次のような基準をクリアすれば、一時的な空室と認められ貸家建付地の評価が可能とされています。

  • 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
  • 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
  • 空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
  • 空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
  • 課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか

ここでは、1ヵ月という期間が明確に打ち出されていますが、その期間が絶対ではないにせよ(あくまで総合的な判断なので)、実務だと結構シビアに見られる印象です。


そこでこの貸家建付地の評価で出てくる一時的な空室と、小規模宅地等の特例の出てくる一時的な空室の考え方ですが、基本は同じように考えることになりますが、どちらかというと貸家建付地の評価の方が厳しく判断し、小規模宅地等の特例の方が緩めに判断する傾向はあるかなと思います。


つまり、貸家建付地の評価ができないアパートの土地でも小規模宅地等の特例の適用が可能ということはあり得るわけです。


ただ、先のように、半年以内の空室期間でも、その間被相続人が入居者の募集をしていないような事実があれば特例の適用が認められなかった事例もあるので、空室期間だけでなくそういった実態も含めての判断が必要です。

まとめ

今回は空室部分に小規模宅地等の特例は適用できるのかについてまとめてみました。


この空室の論点って、厳しいよなと思うことがしばしばあります。


まあでも、貸家建付地の評価については、貸していることによる土地の利用の制限に着目しているわけですし、そう考えると妥当なのかと思ったりもします。


小規模宅地等の特例も、まあなんでもありにならないように、立法趣旨から考えていくと、裁決等の判断にも納得するところがあります。


とりあえず、空室があると、その部分については小規模宅地等の特例の適用できないこともありますので注意しましょう。


■編集後記
ライオンズがファイターズ相手に勝ち越しました。
今日はセデーニョ選手にホームランが出ましたし、ネビン選手も猛打賞の活躍でした。
やっぱり外国人選手が打ち出すと、希望が持てますね。

■一日一新
おかめ納豆 さっぱり仕立て