今年の税制改正で賃上げ促進税制に繰越控除制度が導入されました。
※今年の税制改正といっても、会社なら今度の3月決算の申告から、個人なら2025年分の申告から適用されるのでまだ先のことです
賃上げ促進税制は、これまで幾度となく改正が実施されより使いやすい制度に変わってきた経緯があります。
今回の改正の繰越控除制度の創設もそのより使いやすい制度として機能するための改正の一環といえるかなと思います。
ただ、制度の詳細が判明するにつれ、結構落とし穴もあるなと感じるところです。
そこで、今回は賃上げ促進税制の繰越控除制度の注意点ということで、赤字でも繰越の申告が必要という話を記事にしてみようと思います。
赤字でも繰越控除の申告が必要
まず賃上げ促進税制における繰越控除制度について簡単に確認しましょう。
賃上げ促進税制では、基本的に前期から増加した給与の金額に対して一定割合を乗じて計算した税額控除額が、控除上限額(法人税額や所得税額の20%)を上回る場合や、そもそもの控除する税額がなかったり不足している場合に、税額控除額のうち控除しきれなかった金額を向こう5年間繰り越せるというものです。
もともと、頑張って給与を上げて相応の税額控除額が計算されても、控除上限額があるため思うように税額控除の恩恵が受けられないということがあったのですが、これを是正するために繰越控除制度が創設されたという経緯があるのかなと思います。
そして、この繰越控除制度ですが、上述したように基本的には税額控除額が控除上限額を超える場合に適用することになりますが、注意点として赤字等で税額が生じない場合でも前期から給与が増えて税額控除額が計算される分には、その税額控除額を翌年以降に繰越ができてしまう点に注意が必要です。
今までの税額が発生しなければ賃上げ促進税制はスルーでOKという頭を切り替える必要がある
この赤字でも繰越ができるという点は結構注意が必要だと個人的には感じています。
というのも、今までは赤字なら、賃上げ促進税制は適用の余地がないので、特段税額控除額の計算をする必要もなくスルーでOKというのが通例でした。
ただ、今回赤字等で税額が発生せずとも給与の増加があって税額控除額が計算されると、その金額を向こう5年間繰越ができることになりました。
税理士としては結構やっかいだなと感じています。
この手の税額控除の制度には当初申告要件というものがあって、最初の申告の時に適用を忘れていると後から申告をし直すということができません。
もちろん賃上げ促進税制にも同様の要件があります。
そのため前期から給与が増えて賃上げ促進税制の適用要件を満たすのに、赤字だからといって今まで通りこの特例の適用をスルーしてしまっては一発アウトなわけです。
これからは、申告書を作るたびにとりあえず、賃上げ促進税制の明細書を作成してみるとか、チェックリストにその確認を盛り込むとかして対応しないといけないのかなと感じています。
まとめ
今回は賃上げ促進税制の繰越控除制度の注意点ということで、赤字でも繰越の申告が必要ということを書いてみました。
今年の税制改正といっても、繰越控除制度が適用される申告は通常なら来年の3月決算の会社からであって、個人なら2025年分の申告から適用となりまだ先のことです。
でも結構怖い制度だなと今の時点で感じています。
制度が適用される申告からは赤字でも前期から給与の増加がないか確認して繰越漏れがないよう注意しましょう。
■編集後記
昨日は久しぶりにガストで食事をしました。
ガストに限らずですが、すかいらーく系列のお店に行くと効率化の最先端を感じられて面白いですね。
今回の店員の方とのやりとりは最初の人数の確認と空いてる席にどうぞの声掛けだけで、それ以降はタブレットで注文し、ネコ型配膳ロボによる配膳があり、決済も席でスマホを使っての決済とお店の方とのやりとりがその後はなくお店をあとにしました。
毎回食事に行くと思いますが、すかいらーくの株を買ってみたいなと思います。
■一日一新
からあげくん 黄金チキン味
テーブル決済 ガスト